DVDでアリスター・グリアソン監督の『サンクタム』を観る。秘境の洞窟探検をテーマにした映画で、ちょうど半年ほど前に公開されたもの。内容もさることながら製作にジェイムズ・キャメロンの名前が入っていたので、気にはなっていた映画だ。
南太平洋はパプアニューギニアの密林地帯。フランクをリーダーとする探検隊一行は、実業家カールの資金援助のもと、世界最大と言われるエサ・アラの洞窟を調査中だった。しかし。自らも冒険好きのカールが恋人の登山家ヴィクトリアと到着したその日、事故は起こる。
“悪魔のくびき”と呼ばれる地点から先へ続くルートが発見されたのだが、そこで酸素ボンベのトラブルから女性ダイバーが死亡したのだ。チームには疲労の色も濃く、その事故の責任をめぐってフランクの息子ジョシュはフランクと対立。チームには不穏な空気も流れるが、フランクの強い指導力でなんとかチームは前進を続けようとする。
そんななか、パプアニューギニアを襲った嵐が巨大サイクロンへ変貌し、洞窟のメンバーは完全に隔離されてしまう。しかも増水が洞窟を襲い、助けを待つ余裕もない。一行は脱出路を求め、洞窟の先を進んでゆく……。
洞窟からの脱出劇。冒険ものではあるが、むしろパニック・ムービーのノリに近い。最初は七人ほどいた仲間が数々の困難を乗り越えつつも、一人、また一人と倒れてゆくパターンは限りなくど真ん中な展開。その中に親子の対立、人生論やリーダー論みたいなものを交えて人間ドラマとするのも、またど真ん中。
それらがほどよくミックスされていて、まずまず楽しめる作品にはなっている。なっているのだけれど。
展開が単調というか見せ方が地味というか、圧倒的なスケール感や洞窟ならではの臨場感に欠けているのがとにかく残念だ。劇場公開では3D上映もあったらしいが、それが生きるシーンも少ない印象。密林にぽっかり空いた巨大洞窟の穴がインパクト大で、導入こそ引き込まれるものの、脱出劇になると途端にこじんまりしてしまう。
実話をもとにしているということだから、大風呂敷はあえて広げなかったのかもしれないが、コンパクトにまとめすぎた一本といえるだろう。