少し未見の映画も片付けておきたいということで、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』をDVDで視聴。言うまでもなくトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズ第四作。
ブダペストで極秘ファイルを奪う任務に就いていたIMFエージェントのハナウェイたち。だが、簡単なはずだったその任務はハナウェイの死と任務の失敗で幕を閉じる。
その後、ハナウェイなきあとのチームはロシアにいた。モスクワ刑務所に収容されているイーサン・ハントを救出し、ファイルを奪い返すミッションのリーダーを依頼するためだ。新たなチームを引き受けたイーサンは、ファイルを受け取る予定だった「コバルト」という男の正体を探るため、クレムリンに潜入するが……。
監督のブラッド・バードは、『トイ・ストーリー3』や『レミーのおいしいレストラン』『Mr.インクレディブル』なんてところを撮っているアニメ畑の人で、実写作品はなんとこれが初。大丈夫かいな?と思っていたが、いやいや、やってくれるではないですか。個人的には一作目が一番いいと思っているのだが、それと同程度もしくはそれ以上の満足感はある。
まあ、御都合主義が目に余るのはハリウッド映画の常ではあるし、このシリーズではとりわけひどかったりもするが、それを笑って許せるぐらい本作はがんばっている。予告編やCMでさんざっぱら見せられたドバイの世界一の超高層ビルのアクションなどはもちろん凄いのだが、ホテルでの極秘ファイルの取引シーンなどは本来のスパイ映画らしい趣向でなかなかよろしい。
ただ、このぐらいのことは最近のエンタメ映画ではそれほど珍しいわけではない。本作がそれなりに面白いと感じた理由はどこにあるのか。
つらつら考えてみるに、どうやら下手なドラマを削ぎ落としてスパイの活躍に絞っているところではないかと思えてきた。脇の人の小さいドラマはいろいろ詰め込んではいるのだが、よく考えるとトム・クルーズ演じる主人公イーサン・ハントに関しては、最近の映画には珍しいくらいドラマがないのである。だからチームリーダーである彼は任務に際し、何の迷いもなく危険に飛び込み、臨機応変に対処する。このプロフェッショナルな感じが非常に気持ちよい。ついでにいえば、それがストーリーのテンポにも貢献している。
そういう意味では本作はトム・クルーズのための映画であり(当たり前っちゃ当たり前だけど)、トム・クルーズやっぱり凄いぞと再確認するための映画なのである。