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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

『SHERLOCK(シャーロック) VOL.3/大いなるゲーム』

 『SHERLOCK(シャーロック)』の第2シーズンが放映されるということで、見逃していた第1シーズンの「ピンク色の研究」「死を呼ぶ暗号」をDVDでせっせと消化していたのだが、ついでなので『SHERLOCK(シャーロック)VOL.3/大いなるゲーム』の感想もアップしておくことにする。
 といっても、これだけは昨年の放映時になんとか録画で観ることができて、実は感想もそのときアップしている。ただ、ファーストインプレッションの衝撃が強かったせいか、シリーズ全般の話に終始しているので、ちょっと作品自体のことも残しておこうと思った次第。まあ、そんな大層なもんじゃなくて、自分用のメモみたいなものなんだけど。

 シャーロックの元へ兄マイクロフトからの依頼があった。国家機密に関わる担当者が、線路上で死体となって発見されたのだ。その担当者はミサイル防衛システムの設計図を入れたフラッシュメモリーを持っていたはずだが、そのフラッシュメモリーが見つからないのだという。しかしシャーロックはまったく気のないそぶりを見せるばかり。
 同じころ、アパートの爆破事件がシャーロックたちの家のすぐ目の前で発生する。そして現場にはシャーロック宛ての携帯電話が……。そこに残されたメッセージと画像が示していたのは、5つの爆破殺人の予告と謎解きの挑戦だった。シャーロックはわずかなヒントをもとに、爆弾を仕掛けられた人質を救出しなければならない。謎の爆弾魔との大いなるゲームが幕を開けた。

 SHERLOCK(シャーロック) VOL.3/大いなるゲーム

 爆弾魔からの挑戦ひとつひとつがそれだけで十分楽しめるエピソードになっており、さらにそれらの事件をつなぐ興味もあるわけで。いってみれば連作短編集の趣。しかも、うっちゃられたはずのミサイル防衛システムの設計図の事件についても、結局は終盤に絡んでくるという構成は、予想どおりとはいえ見事なお手並み。
 若干、詰め込みすぎのきらいがあったり、ゴーレムのエピソードとか正直ピンとこないネタもあったのだけれど、第1シーズンのなかでは、本作がもっとも推理するということを前面に押し出しており、二回目の視聴にもかかわらず非常に楽しめた。
 ちなみに設計図をもった男が線路で死体となって発見されるというのは、「ブルースパティントン設計書」ですな。

 ラストはもう強烈の一言。ホームズ以上にどんな役者がモリアーティを演じるのか興味があったのだが、このアンドリュー・スコットという役者さんは抜群の存在感だ。演技力も豊かだし、エキセントリックなモリアーティというまたひと味違ったイメージを打ち出したのには感心した。
 そしてトドメのクリフハンガー。ここまでロコツな引っ張りは久しぶりに味わったが、まあ、これだけやってくれると逆に潔いともいえる(苦笑)。

 個人的には第1シーズンでもっとも楽しめた作品。たまたま管理人はこれを最初に観たわけだが、ある意味、それがよかったのかもしれない。第2シーズンの感想は、またいずれ。


プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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