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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

『ミステリマガジン』683号

 今月号の『ミステリマガジン』683号は「2013年度版ミステリが読みたい!」特集。
 毎年恒例のミステリランキング本『ミステリが読みたい!』との連動企画?と思っていたら、なんと今年から書籍では刊行されず、丸ごと『ミステリマガジン』に吸収される形になったのだという。
 ううむ、老舗の看板をもってしても、ビジネスとしては苦戦したということか。このところのデータ重視の作りは、類似本との差別化という意味ではけっこう悪くないと思っていたのだが。
 まあ、後発としてはいろいろ難しいところもあったのだろうけれど、ランキング企画自体は雑誌で継続していくようなので、その分、がんばって雑誌を盛り上げてほしいものである。

 ミステリマガジン683号

 さて、肝心のランキングだが、当ブログではこれまであえてランキングを転載していなかったのだが、ミステリマガジンってサイトで公表してるのね。じゃあこちらも気にすることはないかというわけで、今年は遠慮なく載せてしまおう。ただし、国内編は例によって管理人は語る資格がないので(笑)、海外編中心ということで。

1位 アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(東京創元社)
2位 スティーヴ・ハミルトン『解錠師』(ハヤカワミステリ)
3位 デイヴィッド・ピース『占領都市 TOKYO ZERO YEAR II』(文藝春秋)
4位 ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q Pからのメッセージ 』(ハヤカワミステリ)
5位 アラン・グレン『鷲たちの盟約』(新潮文庫)
6位 ジェフリー・ディーヴァー『追撃の森』(文春文庫)
7位 スコット・トゥロー『無罪 INNOCENT』(文藝春秋)
8位 マイクル・コナリー『真鍮の評決 リンカーン弁護士』(講談社文庫)
9位 トマス・H・クック『ローラ・フェイとの最後の会話』(ハヤカワミステリ)
10位 フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』(東京創元社)

 うむ、半分は読んでいるな。未読分にしても『特捜部Q Pからのメッセージ 』、『無罪 INNOCENT』、『ローラ・フェイとの最後の会話』あたりはおそらくそのうち消化するはずなので、まあ何とか世間様には追いついているか。
 個人的ノーマークは『鷲たちの盟約』だが、これって歴史改変ものの警察小説なのね。タイトルのイメージで、てっきりスパイ小説とか冒険小説の類だと思っていた。実は歴史改変ものってあまり好きじゃないんで、これは迷うところだ。

 トップは『湿地』。すごくいい作品だとは思うが、従来の警察小説という枠からはそれほど脱しておらず、上位を狙うにはやや弱いと思っていたから少し意外。意外といえば『解錠師』の二位という結果も意外である。昨年のランキングを席巻した『二流小説家』よりは上だと思っていたので、てっきりこれがトップと予想していたんだよなぁ。
 あと、これはいくだろうと踏んでいたデュレンマット、ネレ・ノイハウスはベストテン入りならず。また、レオ・ブルースとクェンティンはどうやら対象外のようでこれまた残念。でも、投票者のリストを見ていると『マルタの鷹』とかホームズを入れている人もいるのになぁ。ううむ、解せん。


プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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