『007 サンダーボール作戦』をDVDで視聴。1965年公開で、監督はお馴染みテレンス・ヤング。
こんな話。宿敵スペクターの幹部No.6を仕留めた英国の情報部員007ことジェームズ・ボンドは療養所で束の間の休暇をとっていた。折しもその療養所では、スペクターが次の計画ためにNATOのパイロットのすり替え作戦を行っており、ボンドはたまたま現場を目撃する。
やがてスペクターの計画が明らかになった。原爆を積んでいたNATO空軍の爆撃機が訓練中に消息を絶ち、スペクターから犯行声明が送られてきたのだ。要求は原子爆弾との引き替えに、一億ポンド相当のダイヤモンド。対策を迫られたNATOと英国情報部は調査指令「サンダーボール作戦」を発令する。ボンドはバハマのナッソーへ飛び、そこで爆撃機に搭乗していたNATO空軍少佐の妹ドミノに接近するが……。

シリーズ四作目ということで、いよいよ大作感を前面に押し出してきた印象のある007シリーズ。本作ではパリやバハマを舞台に、より派手でスペクタクルな仕上がりである。
もともとエンターテインメントの極致的映画ではあるけれど、まだこれまでの作品にはスパイ映画としてのテイストやストーリーの工夫が感じられた。それがこの作品辺りから路線が変わってきたなと強く感じられる。意地悪い見方をするならば、見た目中心のスケールアップであり、手っ取り早い道を選んだなという感じ。
とはいえ全篇水中でのアクションをメインに据えるなど、その趣向は十分に面白い。特に鮫を使ったシーンやクライマックスの集団水中アクションシーンはほとんどがリアルに撮影したものであり迫力十分。ちなみに冒頭の個人用ジェット・パックもCGなどではなく現物を使用したというから、当時はやはりハイテクの最先端をいっていたのである。
『007 ロシアより愛をこめて』や『007 ゴールドフィンガー』などと比べれば落ちるが、やはり見逃せない一作といえるだろう。
さあ、次はいよいよ怪作『007は二度死ぬ』か。