DVDでガイ・ハミルトン監督の『007 ダイヤモンドは永遠に』を視聴。シリーズ第七作目。
前作『女王陛下の007』でジョージ・レーゼンビーが不評だったことから、再度ショーン・コネリーがボンドとして復活した作品。さすがにレーゼンビーに比べると圧倒的な華を感じさせるが、『007は二度死ぬ』以来、四年ぶりのボンド役だけに、急に老け込んだ感があるのがちとショック。以前に観たときはそんな感じを受けなかったのだが、短期間でシリーズを順番に観ていると、こういう点にも気がついてなかなか面白い。
ま、それはともかく。
プロフェルドを追い詰め、ついに復讐を果たしたジェームズ・ボンド。派手な仕事もこれでお終いだと、Mはボンドに南アフリカで頻発するダイヤモンドの密輸事件の調査を命じる。ところがダイヤの密輸人が相次いで消される事件が起こり、ボンドはダイヤの行方を突き止めるべく密輸ルートに潜入するが……。

荒唐無稽さが目立つとか、そのくせストーリーは間延びしているとか、ラストがあっけないとか、せっかくのコネリー・ボンド復活もやや空回り。宿敵プロフェルドもどんどんグレードダウンしている印象で、ボンドとのダラダラした対決は緊張感にも欠ける。ファンの間ではやや低評価なのも致し方ない出来映えだ。
とはいえ、実は個人的にはそれほど悪い作品とは思わない。というのも随所で発揮されるボンドの小技がなかなか冴えているのだ。
例えば一人でカップルの抱擁に見せかけるシーン、死んだ男の財布を素早く自分のものとすり替えてボンドが死んだように見せかけるシーン、指紋チェックを切り抜けるシーン、カセットテープをすり替えるシーン、ブラジャーを一瞬で脱がせるシーン(笑)などなど。アクションでもアメリカナイズされたカーチェイスやエレベーターでの格闘などもまずまずだし、個々のシーンはそれなりに見せるのである。
さすがに他の傑作と比べられては分が悪いが、もう少し見直されてもいいのではないだろうか。