DVDでマーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』を鑑賞。
原作はブライアン・セルズニックの小説『ユゴーの不思議な発明』だが、実は管理人、この映画・原作とも予備知識がほとんどなくて、恥ずかしながら映画公開当時の予告編で勝手に冒険ファンタジーだと思っていた。
ところがいざ観てみると、映像の作りはファンタジーの雰囲気を醸し出しているけれど、内容は完全なヒューマンドラマ。しかも映画創生期においてSFXの技術を多数生み出し、SFX映画の創始者とまで言われているジョルジュ・メリエスをテーマにした作品だから驚いた。
まあ、こっちの情報不足っちゃ情報不足なんだけど、当時のCMの打ち方は誤解を招きやすいというか、冒険ファンタジーだと思った人は決して管理人だけではないんじゃないか(苦笑)。

まあ、それはともかくとして、内容の方はスコセッシ監督らしい丁寧な作り。本作ではスケール感はあえて抑え、”駅”という小宇宙を作り出して、そこでさまざまな人間模様を絡ませつつ、主人公のヒューゴ少年の冒険を描いてゆく。映像も綺麗だし全般的にはまずまず楽しめた。
ただし、少年の成長物語が、後半のメリエスの物語に食われてしまうため、テーマがややぼやけてしまうのが残念。メリエスの扱いが大きくなる後半、テーマまでがメリエス絡みに寄っていき、ヒューゴがただの狂言回しに見えてくる。モチーフも機械人形とか手品とかいろいろあるのだが、少し盛り込みすぎの嫌いが全体的にあるのかもしれない。
ちなみにメリエスの養女イザベルを『キックアス』のクロエ・グレース・モレッツが演じているのも注目なんだけど、こちらもいうほどの見せ場もなく拍子抜けであった。
ううむ、物足りないところばかり挙げてしまったが、先ほども書いたように全体的には普通に楽しめる映画である。その辺はご心配なく。