DVDで『新・刑事コロンボ/奇妙な助っ人』を観る。監督はヴィンセント・マケヴィティ、通算六十五作目。
こんな話。ロス郊外でサラブレッド牧場を経営するマクヴェイは、ギャンブル狂の弟からマフィア相手の借金を帳消しにするため、八百長レースを頼まれていた。しかし、マクヴェイは薬を使い、あえてそのレースを負けさせてしまう。
実はマクヴェイは弟を厄介払いするため、かねてから弟の殺害計画を練っていたのだ。弟を殺し、その容疑を借金相手のロマーノに向けさせ、なおかつ自分を狙ってきたロマーノを正当防衛で殺害するという周到な計画である。果たして計画通りに犯行は進んだが、コロンボは弟が殺害された車の状況に不審を抱き……。

犯人マクヴェイ役のジョージ・ウェントの好演、名優ロッド・スタイガーのゲスト出演など、見るべきところもあるにはあるが、個人的にはこの作品が『初夜に消えた花嫁』すら超えて、ワーストに入るかもしれない。
理由は言うまでもなく、マフィアの暴力をもって証拠を強要するそのやり方だ。もちろんコロンボが考えたトリックではあるのだが、逆トリックとすらいえないその逆トリックはシリーズ中でも最低だろう。別にマフィアに限らず、この手段を用いればどんな事件でも解決できるんではないかい?
しかし、新シリーズのだめっぷりにもいい加減慣れてきたつもりだったが、まだこんな駄作バリエーションがあったとは。残すところは四作だが、むしろそういう興味で観た方がいいのかも(苦笑)。