Posted in 03 2014
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エドマンド・クリスピン『列車に御用心』(論創海外ミステリ)
エドマンド・クリスピンの短編集『列車に御用心』を読む。

Beware of the Trains 「列車に御用心」
Humbleby Agonistes「苦悩するハンブルビー」
The Drowning of Edgar Foley「エドガー・フォーリーの水難」
Lacrimae Rerum 「人生に涙あり」
Within the Gates「門にいた人々」
Abhorrèd Shears「三人の親族」
The Little Room「小さな部屋」
Express Delivery 「高速発射」
A Pot of Paint「ペンキ缶」
The Quick Brown Fox 「すばしこい茶色の狐」
Black for a Funeral「喪には黒」
The Name on the Window 「窓の名前」
The Golden Mean「金の純度」
Otherwhere 「ここではないどこかで」
The Evidence for the Crown 「決め手」
Deadlock 「デッドロック」
収録作は以上。上から十四作がシリーズ探偵のジャーヴァス・フェン教授もの、残りの「決め手」と「デッドロック」がノンシリーズと、なかなかのボリュームである。基本的にはどれもまっとうな本格ミステリで、しかも日本では初のクリスピン短編集だから、クラシックミステリ好きには見逃せない一冊といえるだろう。
実は個人的な好みの問題が大きいのだが、クリスピンの作品に対してはこれまで長篇での相性が悪く、いまひとつのめり込めない作家だった。ところが本書は意外なほどすんなり読める。
理由を少し考えてみたのだが、まずは各作品が比較的短いこともあって、本格ミステリとしての胆がシンプルに打ち出されていることが挙げられるだろう。また、シンプルだけれども設定そのものはよく練られており、趣向が明確に伝わってくることも大きい。独特のユーモアなどは健在だけれど、短編ではピリッとした味つけに転化されている印象で、つまりは長篇の灰汁がほどよく取り除かれたということになるのだろうか。
ただ、クリスピンのちゃんとしたファンは恐らく管理人と真逆の感想を持っているに違いない(笑)。
そんなわけで、トータルでは満足度の高い一冊。中には「え?」と感じるようなアンフェアな作品もあったり、多少のバラツキもあったりはするのだが、まあ疵も含めてクラシックを読む際の味ととらえればまったくOKである。
ちなみにマイ・フェイヴァリットは「デッドロック」。本書中では異色作だが、やはりこういう暗めの路線が個人的には好みなんだよなぁ。

Beware of the Trains 「列車に御用心」
Humbleby Agonistes「苦悩するハンブルビー」
The Drowning of Edgar Foley「エドガー・フォーリーの水難」
Lacrimae Rerum 「人生に涙あり」
Within the Gates「門にいた人々」
Abhorrèd Shears「三人の親族」
The Little Room「小さな部屋」
Express Delivery 「高速発射」
A Pot of Paint「ペンキ缶」
The Quick Brown Fox 「すばしこい茶色の狐」
Black for a Funeral「喪には黒」
The Name on the Window 「窓の名前」
The Golden Mean「金の純度」
Otherwhere 「ここではないどこかで」
The Evidence for the Crown 「決め手」
Deadlock 「デッドロック」
収録作は以上。上から十四作がシリーズ探偵のジャーヴァス・フェン教授もの、残りの「決め手」と「デッドロック」がノンシリーズと、なかなかのボリュームである。基本的にはどれもまっとうな本格ミステリで、しかも日本では初のクリスピン短編集だから、クラシックミステリ好きには見逃せない一冊といえるだろう。
実は個人的な好みの問題が大きいのだが、クリスピンの作品に対してはこれまで長篇での相性が悪く、いまひとつのめり込めない作家だった。ところが本書は意外なほどすんなり読める。
理由を少し考えてみたのだが、まずは各作品が比較的短いこともあって、本格ミステリとしての胆がシンプルに打ち出されていることが挙げられるだろう。また、シンプルだけれども設定そのものはよく練られており、趣向が明確に伝わってくることも大きい。独特のユーモアなどは健在だけれど、短編ではピリッとした味つけに転化されている印象で、つまりは長篇の灰汁がほどよく取り除かれたということになるのだろうか。
ただ、クリスピンのちゃんとしたファンは恐らく管理人と真逆の感想を持っているに違いない(笑)。
そんなわけで、トータルでは満足度の高い一冊。中には「え?」と感じるようなアンフェアな作品もあったり、多少のバラツキもあったりはするのだが、まあ疵も含めてクラシックを読む際の味ととらえればまったくOKである。
ちなみにマイ・フェイヴァリットは「デッドロック」。本書中では異色作だが、やはりこういう暗めの路線が個人的には好みなんだよなぁ。