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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 09 2014

ロン・アンダーウッド『トレマーズ』

 先週末に観たDVD、ロン・アンダーウッド監督による『トレマーズ』の感想など。
 低予算B級モンスター映画のなかでも比較的有名な作品(とはいえモンスター映画マニアの間だけでしょうが)なので、さすがに1作目は観ていたものの、2以降はパッとした評価でなかったため、これまでスルーしていた。
 ところが最近になって、『トレマーズ ベストバリューDVDセット』なるものをショップでたまたま発見。どうやら今年になって発売されたものらしいが、シリーズ全四作が入っているのでこれは便利。2以降の評価はとりあえず聞かなかったことにして(笑)、この機会に最初から通して観てみることにした。

 アメリカは西部に位置するネバダ州。人口僅か人口14人の町パーフェクションで、便利屋を営むバルとアールがいた。しかし、あまりにしがない毎日に嫌気がさし、遂に町を出ることにした。
 ところが途中でぶち当たったのが、なぜか鉄塔の上で死んでいる町の住人。いったん死体を町へ運んでから、あらためて町を出ることにしたが、今度は工事現場で作業員が襲われたらしいことを発見。
 犯人はどうやら地中を動き回っている謎のモンスターらしい。やがて地質学を学んでいる女子学生が加わり、モンスターが震動を感知していることも明らかになるが、既に奴は町の近くまで迫っていた……。

 トレマーズ

 初めて観たのはもう二十年ほど前になると思うのだが、今観てもいやあ良くできている。身も蓋もない言い方をすると陸上版ジョーズであり、下手な科学考証や人間ドラマを一切抜きにして、ミミズの化け物みたいな奴=グラボイドと住民の死闘を、非常にシンプルに見せてくれる作品である。

 モンスター映画の定石はある程度踏まえている。主人公たちの言葉をなかなか他人が信用してくれなかったり、逃げ道が閉ざされて脱出方法が限られてしまったり、グラボイドの設定を活かした倒し方を見せたりといった具合。
 その一方で、これまでのモンスター映画にはあまりなかった試みも試しているわけで、これがあるから本作は確固たる地位を占めるようななったといえるだろう。即ち徹底的に明るいタッチの作品なのである。

 まずは文字どおり画面が明るい。通常のモンスター映画やホラー映画は基本、夜や暗いシーンが多い。実は特撮の粗を隠す意味も大きいのだが、やはり人を怖がらせるにはまず雰囲気作りである。出るぞ出るぞといった煽りがなければ怖さも半減だが、本作はそこを思い切って逆に徹底的に明るい映像にこだわっている。夜のシーンはほとんどなし。正直、グラボイドもチープな感じは否めないのだが、それでも明るい太陽の下で登場させる。
 もうひとつの明るさはテイストだ。要はライトなコメディタッチ。主人公二人の掛け合いに代表されるように、古き良き時代の青春コメディのノリでガンガン押してくるのである。怖さが半減されるのは制作者たちも承知の上だろう。そこをあえて馬鹿っぽいノリで正統派モンスター映画に仕立ててくるのがお見事。どうせおいらたちB級だもんねと開き直り、それが結果的にこれまでのモンスター映画の既成概念を打ち破ったといえる。

 ちなみに主人公たちのやりとりは十分笑えるのだが、その存在感だけで楽しめるのがガンマニアの夫婦。こういう人たちってたいてい真っ先に餌食になったりもするのだが、本作ではかなりのキーマンとして活躍するのも楽しい。こういうツボの外し方というか、センスがいい映画でもあるのだ。
 普通の映画ファンがわざわざ観るような代物ではないけれど(苦笑)、少なくとも退屈するようなことは絶対にない。


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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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