この週末に観たDVDの感想など。ものは『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』。言うまでもなく『キックアス』の続編である。前作の監督さんはプロデューサーに回って、本作では若手のジェフ・ワドロウが監督を務めている。

結論から言うと、前作の方が全然いい出来なのだが、決して本作もつまらないわけではない。
えぐい描写でコミカルで、ちょっぴり感動的、というエッセンスはそのままだし、キャストも前作のメインどころは総登場(さすがにビッグダディはいないけれど)。加えてごつい新キャラも登場するから、じゃあ何がダメなんだって話。
要は比重の問題であろう。ちなみに前作で良かった点を挙げると……
・見た目と言動のギャップが魅力のヒットガール
・アメコミヒーローもののパロディとしての面白さ
・ボーカル多用のBGM
・ベタだが感動的なストーリー
……といったあたりだろうか。個人的な印象だが、だいたい上から順にその比重が高いように思われる。
これが本作になると、まずヒットガールの活躍がかなり減少するのが痛い。女の子が思春期を迎えた少女になることで新たな魅力は加わるものの、前作のインパクトにははるかに及ばない。
パロディとしての面白さは現状維持といったところだが、悪役の存在がややピンぼけ。前作ではシリアス担当のマフィアとお笑い担当のレッドミストというバランスの悪さが良かったのだが、本作はその二つが融合してしまって、なんとなく普通の悪役になってしまった。
三つ目のBGMについては、生きのいいボーカル曲が大きく減少。ここ、個人的にはかなりのマイナス。
最後のストーリーについてはまずまず。特に本作では敵味方そろって主要人物の父親がすべて亡くなっており、ならではのテーマは打ち出しているけれど、大前提となる"正義"の追求がややトーンダウンした感もあるのは惜しい。主人公デイブも悲しいエピソードはあるけれど仲間に恵まれすぎているせいか、もうひとつこみ上げるものが少なくなってしまった。
まあ、いろいろ書いたが結局はヒットガールのパワーダウンがすべてか。カースタントやバイクのシーンなど見るべきところもあるが、やはり大暴れした前作には部が悪い。
それでもけっこう楽しんだことは確かなので、もしあるなら三作目はヒットガール全開で締めてほしいなあと思う次第。