先週、挫折した『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(監督はアラン・テイラー)をようやく観にいくことができたので、その感想など。
ターミネーター・シリーズはこれまで四作が公開されているが、回を重ねるごとにストーリ−がグダグダとなり、個人的には1がダントツの傑作、内容的に見れるのはせいぜい2までで、3、4はどうしようもない出来であった(まあ4のクリスチャン・ベールとサム・ワーシントンの二枚看板はよかったけれど)。
本作はシリーズ第五作目ということで、当然ながら期待は抱かず。ただ、悲しいのはファンの性である。もしかすると2ぐらいには復活していることもあるんじゃないかと思い、いそいそと映画館へでかけた次第である。

さて、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』だが、これまでの作品と同様、その設定や世界観はすべて共通である。2029年の近未来、地球はスカイネットと呼ばれる人工知能が指揮する機械軍によって支配されている。生き残った人間は抵抗軍指導者であるジョン・コナーのもと、反撃に転じている。これが大前提。
直接ジョン・コナーを倒すことが難しいと考えたスカイネットは奥の手を出す。殺人ロボット・ターミネーターを過去へ送り込み、ジョンの母親サラ・コナーを殺害することで、ジョンを歴史から抹消しようとしたのだ。これを知ったジョンはサラを守るべく、最も信頼している部下、カイル・リースを同様に過去へ送り込んだのだった。
これはシリーズ一作目『ターミネーター』のストーリーでもあるのだが、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は実はこの一作目の設定を同じくしながら、異なる展開を描いたパラレルワールド的作品なのである。
ただ、試みは悪くないけれど、やはりこれは大失敗。 タイムトラベルなんてものはもともと禁断の果実。ネタとしては面白そうなのだが実は科学的には無茶な話であって、実際やればやるほど矛盾が出てしまい、どう取り繕っても粗は大きくなるばかりである。ターミネーター・シリーズもこの例に漏れるものではない。
本作でもカイルが過去へ飛び、聞かされていた状況が違うぞと戸惑うあたりまではいいけれど、そこから先のストーリーはもうなんだかなぁという感じ。ほったらかしの疑問や満載の矛盾とご都合主義。根本的なところで歴史改変までやるから、もうなんでもありな世界になってしまう。
見どころはせいぜい特撮とアクションだが、以前に見たようなネタが多くてアイディアとしては凡庸。
この新展開も三部作になるようだが、先行きは暗い。ああ、久々に辛い映画を見てしまった……。