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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 02 2016

ダグラス・マッキノン『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』

 Twitterでも少しつぶやいたが、立川へ出かけて『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』を観てきた。BBCドラマの『SHERLOCK/シャーロック』の映画版、しかも舞台は現代ではなく、ヴィクトリア朝時代の19世紀のロンドンに移した正調ホームズ譚らしいというのでけっこう楽しみにしていたのだが、ううむ、これはいただけない。

 1895年、冬のロンドン。トーマス・リコレッティの夫人が突如、街中で発砲事件を起こし、最後には自殺を図るという事件が起こる。そして数時間後、夫の前に死んだはずのリコレッティ夫人がウェディングドレス姿で現れ、今度はトーマスを銃殺する。遺体安置所には確かに夫人の遺体があるものの、夫のトーマスが夫人を見間違えるはずもない、トーマスの前に現れたのは霊界からの使者だったのか? そして事件はこれだけでは終わらなかった……。

 SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁

 今回にかぎりヴィクトリア朝時代の設定でやるのでテレビ版を観ていない人もこの機会にぜひ、とか、あるいはテレビ版のファンのためのサービス的なものだったら、多少内容がおそまつでも気にならなかったと思うのだが、なんというか恐ろしいほど一見さんお断りな作りにちょっと引いてしまったのが正直なところだ。
 要は原作はもとより、テレビ版『SHERLOCK/シャーロック』を観ていないとまったく楽しめない内容なのである。なんせヴィクトリア朝時代を舞台にするというからてっきり正統派でくると思っていたら、現代がしっかり絡んでくるわけで、結局テレビ版のシリーズの補足をするような内容なのである。だから原作を読んでいないのはしょうがないとしても、少なくともテレビ版を観ていない人はまず話が見えないだろう。
 テレビ版のスペシャルならともかく、これをロードショーでやりますかって話なのだが、なんと本国ではやはりテレビで放映されたものらしい。それを日本ではロードショーとして公開したわけで、まあ商売熱心だこと。

 物足りなさはあるけれど、ヴィクトリア朝時代のパートはまあ悪くはない。「マスグレーヴ家の儀式」の冒頭に登場する”語られざる事件”をベースに「オレンジの種五つ」をまぶしたりホラーテイストにまとめるなど、それなりにまとめている。相変わらず事件の再現や推理部分の見せ方など、演出は素晴らしい。
 加えて役者さんも同じキャラクターを現代とヴィクトリア朝時代で微妙に演じ分けていたりしているのはさすが。

 まあ、キャラクターありきで観るならそれなりに楽しめるだろうが、見る人おいてけぼりのシナリオは辛すぎる。現代とヴィクトリア朝時代を行き来するのが悪いとはいわないが、基本的に本編一本で勝負できない内容は個人的にはご免こうむりたい。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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