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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 10 2016

校條剛『作家という病』(講談社現代新書)

 ネットで見かけて面白そうな新書があったので読んでみる。ものは『作家という病』。
 著者は「小説新潮」の元編集長・校條剛(めんじょうつよし)。九年間の編集長時代を含め、トータルで二十九年間を文芸誌の編集者として務めあげた彼が、仕事を通じて知りあった作家との思い出を綴ったノンフィクションである。

 作家という病

 取り上げられている作家は以下のとおり。

第一章 流浪の民
水上勉/田中小実昌/ 渡辺淳一
第二章 硬骨の士
城山三郎/結城昌治/藤沢周平
第三章 二足の草鞋
伴野朗/山口洋子/久世光彦
第四章 遅筆の理由
井上ひさし/都筑道夫/綱淵謙錠
第五章 仕事をせんとや、遊びをせんとや
遠藤周作/北原亞以子/吉村昭
第六章 早すぎた旅立ち
山際淳司/楢山芙二夫/多島斗志之
第七章 全身流行作家
黒岩重吾/西村寿行/山村美紗

 現役作家はさすがに差し障りがあるのか、すべて物故作家ばかりなのだが、「小説新潮」絡みとあってメジャー級がズラリと並ぶ。
 とりわけエンターテインメント系が多いのは意図的なもので、こちら方面の作家の事績を残しておきたいという気持ちからだそうだ。確かに人気はあれども文学的に論評されることが少ないエンタメ系作家の記録は貴重である。そういう意味でも本書の価値は思った以上に高い。

 さて肝心の中身だが、何と言ってもベテラン文芸編集者の著作である。単なる思い出話に済まさず、作家の特異なエピソードを切り出し、そこから作家の業ともいうべきものを炙り出していく手際は見事だ。
 作家は作家であり続けるために、内的エネルギーをどんどん肥大させると著者はいう。ときにその過剰な部分が特異な習慣や傾向となって外に現れる。そんな過剰さがいってみれば”作家という病”であり、作家を作家たらしめる業なのだ。
 不謹慎な言い方だが、その過剰さがとてつもなく面白い。本当にまずいことはさすがに書いていないだろうが、それでも相当に楽しめる。管理人的にはもちろんミステリ系の作家が気になって買った部分はあるのだが、正直、読み始めるとジャンルに関係なくどの作家の内容も興味深い。
 多島斗志之の項だけは、さすがにまだ失踪事件の記憶が新しく、しかも事件が解決していないこともあって痛々しいものがあるが、その他は比較的、作家の変人奇人ぶりを堪能できるだろう。


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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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