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 アカデミー賞の六部門を制覇した話題のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』を視聴。監督はデミアン・チャゼル、主演はライアン・ゴズリングとエマ・ストーン。

 なお、先に書いておきますが、当ブログで取りあげているからには何らかのミステリ要素があるのではと思った方、すいません。まったくそんな要素はございません。単に話題になっているから観てきただけですので念のため。

 さて、まずはストーリー。
 舞台はロサンゼルス。ハリウッドのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は、いくつものオーディションにチャレンジしている女優の卵。演技の勉強はもちろん、同じ立場の友人たちと情報交換しながら人脈も広げようと頑張っているが、一向にうだつの上がらない毎日だった。
 一方、セブは、ジャズの老舗バーで働くピアニスト。しかしながらジャズでは儲からない店がジャズを捨てつつある現状を嘆き、いつかは自分の店をもちたいと考えていた。
 そんなある日のこと。ミアはたまたま耳にしたピアノの音色に惹かれ、とあるバーに入っていく。演奏していたのはもちろんセブ。ところが直後にセブと店のオーナーが口論となり、その場でセブはクビ。セブは声をかけようとしたミアも無視して店を後にする。
 そして数ヶ月。あるパーティーに参加したミアは、そこで余興の演奏をしていたセブと再会する……。

 なるほど。普段はあまりミュージカル映画を観るほうではないけれど、決して嫌いなわけではない。むしろ本作も十分楽しむことはできたのだが、まあ世間で騒がれるほどの映画とまでは思わなかった。

 理由はいくつかある。。
 まず、セリフのように歌う場面が多く、華やかな感じが少なく思えたことがひとつ。大人数で謳うシーンもあまり多くはなかったかも。
 こういうのを狙ったのかもしれないが、ストレートに夢の世界〈ラ・ラ・ランド〉に運んでくれる成分が少ないというか、そういう意味での物足りなさは感じてしまった。

 二つ目としては、登場人物の性格付けやストーリーがいまひとつ緩いのではないかということ。例えば、セブは古き良きジャズを復興させたいのか、あるいは単に自分好みのバーを作りたいのか、その辺が曖昧。
 だから、ミアがセブの若者ウケしそうな現代的ジャズバンド活動を批判するシーンでも、単に店の資金を稼ぐのが目的なら、ミアはあそこまで怒る必要はまったくない。逆にジャズ復興がセブの夢なら、日和ったセブに対するミアの批判はごもっとも。でもセブの夢が物語のなかではっきり示されていないので、結局このエピソードが観る側にピシッと伝わってこないのである。

 ミアにしても演技が本当にいまいちだからオーディションに受からないのか、あるいは人脈がないと採用されない悪しき慣習の被害者なのか、釈然としない。ミアが一発逆転を図る一人芝居でも、そもそも無名の女優の卵がやっても客が入るわけもないし、一人芝居をやる意味がまったくない。それでも大御所の関係者が来るという理屈や説明でもあればまだしも、それもないしなぁ。
 普通に考えれば、才能はあるのに認められるきっかけや人脈がない、というストーリーだとは思うけれど、その説明が圧倒的に弱いから、ところどころで?となるのである。
 まあミュージカル映画にストーリーまで求めるなという声もあるだろうが、サクセスストーリーたる本作では、肝中の肝の部分であるから、これらはきちんと描いてほしかったところだ。

 とまあ、ひっかかる点はいろいろあるのだが、いいところもある。
 まずはオープニングを飾る高速道路でのダンスシーン。長回しを多用したカメラワークは他の場面でも見られたが、ここはカメラが縦横無尽に駆け回っている感じで、とにかく気持ちよい。
 上で大人数で歌い踊るシーンが少ないと書いたが、ここが最初にして最高の見せ場かも。

 メリハリの効いた色使い=映像もなかなか鮮やかでよい。これも序盤になるが、ミアと仲間たちとドレスで着飾って出かけるところとか非常に映像映えするシーンである。けっこう原色を使っているのも、昔の映画へのオマージュだという。
 新しいけどクラシックな感じというのは本作全編にわたって感じられるところだが、もちろん作り手が強く意識していたということでもあるだろう。

 そしてラスト十分間も見逃せないところだ。ここはネタバレになるので詳しくは書かないが、ここがあるとないとでは、本作の感想もまったく違っていたかも知れない。それぐらい驚きの十分間である。

 というわけで本作は最初と最後の十分間が必見。いろいろケチもつけたが、考えるとこのふたつを観ただけで元はとれたような気がするな、うん。

テーマ:洋画 - ジャンル:映画



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