マイクル・コナリーの『贖罪の街』を上巻まで。
本作は久々の弁護士ミッキーー・ハラーと刑事ハリー・ボッシュの豪華共演作である。ただし、ボッシュはロス市警をすでに退職しており、本作ではハラーが扱う事件をフリーとして手伝うことになる。

こんな話。
あるときハラーから食事の誘いを受けたボッシュ。退職したボッシュに事件の調査を手伝ってもらいたいのだという。
その事件とは、ウエスト・ハリウッド市で市制管理官補を務めるレクシー・パークスが殺害された事件であった。容疑者は元ギャングで古くからのハラーの顧客でもあるダクァン・フォスター。ハラーは彼の主張を信じて弁護を引き受けたのだという。しかし、ボッシュとしてはそう簡単に承諾はできなかった。それもそのはず、レクシーの夫は保安官補であり、退職した刑事が弁護側につくのは警察への裏切りに等しいからだ。
しかし、ダクァンと面会して彼の無実を信じたボッシュは、ついに事件を引き受けることにする。それはダクァンを救うためではない。実際に殺人を犯した者が自由に歩き回っていることが許せないからだ。ボッシュはそう自分に言い聞かせ、行動に移るが……。
豪華共演とはいいながらも上巻でのハラーはかなり控えめ。ほぼボッシュメインで進んでいるのだが、なんせ警察を退職してしまったので、今までのような特権は使えない。そこで
『燃える部屋』で登場したソト刑事や恋愛関係にあったスキナーなどの助けを借りながら調査を進めるのがミソ。
ちょっとボッシュにしては小器用に立ち回りすぎる嫌いもあるが(大きなヘマもあるけれど)、まあ、まだ上巻。下巻ではどのように驚かせてくれるか楽しみだ。