Posted in 09 2019
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kazuou『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』
ブックガイドの類が好きなことは何度か過去の記事でも書いているのだが、まあミステリファンで良かったのは、そういうブックガイドがけっこう多いことである。親戚筋のSF小説や幻想小説、怪奇小説でもこうはいかない。
だが、その怪奇小説や幻想小説のガイドブックで注目すべき一冊が出た。先日紹介した『Murder, She Drew Vol.1 Beware of Fen』同様、こちらも同人系で、怪奇幻想小説の書評ブログ「奇妙な世界の片隅で」を運営しているkazuou氏による『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』である。

kazuou氏曰く、日本における海外怪奇幻想小説というジャンルは、日本ではクラシックから現代ホラーに至るまで一応はひと通りの作品を読むことができるのに、他に比べて初心者が入りにくい分野であるという。
これは管理人の想像に過ぎないが、やはりそこにはオールタイムベスト100とかを紹介するガイドブックが非常に少ないという事実がまずあり、それゆえに必読書や入門書というべきものがあまり知られていない現実があるのだろう。要するに一般の人がたまにはそういったものを読もうかというとき、水先案内人が極めて乏しい状態にあるのではないか。
とまあ、そんな状況を踏まえたうえで、kazuou氏が海外怪奇幻想小説の初心者にオススメするのがアンソロジーというわけだ。そもそも怪奇幻想小説は、長編より短編の方がより強くそのエッセンスを感じられるとも氏は書いており、まずはアンソロジーで気に入った作家や傾向を見つけ、そこから個々の作品に進んでいただければ、ということらしい。
ちょっと面白いのは、海外怪奇幻想小説というジャンルにはガイドブックが少ない割に、意外なほどアンソロジーは多く出版されていること。そういう意味でkazuou氏の試みは非常にいいところを突いているように思う。
内容についてはもちろん満足。新旧とりまぜた幅広いアンソロジーを扱い、しかもちゃんとそれぞれの本の特徴を解説しており、まさにガイドブックの名に恥じない。もとより氏のブログは作品単体の書評だけではなく、アンソロジーの紹介や同傾向・同テーマの作品をまとめて紹介するという、それこそ本書の元になっているような記事も多く、本書が気に入った人はぜひ氏のブログも参考にするとよいだろう。
なお、あえて注文をつけさせてもらえるなら、もし第二弾、あるいは改訂版などを作る際は、ぜひ作品名と著者名の索引をつけてもらえると使い勝手が良くなって嬉しい。いや、無理言ってすいません。
余談だが、実は管理人、kazuou氏の主催するオフ会に何度か参加したことがある。氏はそういう場でも必ず細かなレジュメを作ってこられたのが印象的で、怪奇幻想小説にかける熱意には頭が下がるばかりである。
開催曜日の都合で最近は欠席ばかりなのだが、ううむ、また顔を出したいものだ。
だが、その怪奇小説や幻想小説のガイドブックで注目すべき一冊が出た。先日紹介した『Murder, She Drew Vol.1 Beware of Fen』同様、こちらも同人系で、怪奇幻想小説の書評ブログ「奇妙な世界の片隅で」を運営しているkazuou氏による『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』である。

kazuou氏曰く、日本における海外怪奇幻想小説というジャンルは、日本ではクラシックから現代ホラーに至るまで一応はひと通りの作品を読むことができるのに、他に比べて初心者が入りにくい分野であるという。
これは管理人の想像に過ぎないが、やはりそこにはオールタイムベスト100とかを紹介するガイドブックが非常に少ないという事実がまずあり、それゆえに必読書や入門書というべきものがあまり知られていない現実があるのだろう。要するに一般の人がたまにはそういったものを読もうかというとき、水先案内人が極めて乏しい状態にあるのではないか。
とまあ、そんな状況を踏まえたうえで、kazuou氏が海外怪奇幻想小説の初心者にオススメするのがアンソロジーというわけだ。そもそも怪奇幻想小説は、長編より短編の方がより強くそのエッセンスを感じられるとも氏は書いており、まずはアンソロジーで気に入った作家や傾向を見つけ、そこから個々の作品に進んでいただければ、ということらしい。
ちょっと面白いのは、海外怪奇幻想小説というジャンルにはガイドブックが少ない割に、意外なほどアンソロジーは多く出版されていること。そういう意味でkazuou氏の試みは非常にいいところを突いているように思う。
内容についてはもちろん満足。新旧とりまぜた幅広いアンソロジーを扱い、しかもちゃんとそれぞれの本の特徴を解説しており、まさにガイドブックの名に恥じない。もとより氏のブログは作品単体の書評だけではなく、アンソロジーの紹介や同傾向・同テーマの作品をまとめて紹介するという、それこそ本書の元になっているような記事も多く、本書が気に入った人はぜひ氏のブログも参考にするとよいだろう。
なお、あえて注文をつけさせてもらえるなら、もし第二弾、あるいは改訂版などを作る際は、ぜひ作品名と著者名の索引をつけてもらえると使い勝手が良くなって嬉しい。いや、無理言ってすいません。
余談だが、実は管理人、kazuou氏の主催するオフ会に何度か参加したことがある。氏はそういう場でも必ず細かなレジュメを作ってこられたのが印象的で、怪奇幻想小説にかける熱意には頭が下がるばかりである。
開催曜日の都合で最近は欠席ばかりなのだが、ううむ、また顔を出したいものだ。