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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 11 2019

マイクル・コナリー『訣別(上)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『訣別』をとりあず上巻まで読む。ハリー・ボッシュものの最新作である。

 まずはストーリー。元ロス市警の刑事だったボッシュは、失効した私立探偵免許を新たに取り直すとともに、知人の本部長に誘われ、ロス近郊にあるサンフェルナンドという小さな市で嘱託刑事として働いていた。
 そんなある日、いまはセキュリティ会社に勤める元上司から、大富豪ホイットニー・ヴァンスの仕事を紹介される。ヴァンスと面談したところ、彼が若い頃に交際した女性、さらにはその子供がいれば一緒に探してほしいという。ヴァンスは高齢で体力も弱まっており、先が短いながらも身よりはない。血縁者が見つかるなら、ぜひ資産を譲りたいのだという。ただ、その財産は莫大なもので、これが明るみに出ると危険も伴うため、あくまで極秘の調査だった。
 一方、サンフェルナンドでは〈網戸切り〉と呼ばれる連続レイプ事件が起こり、ボッシュは並行して二つの捜査を進めていくが……。

 訣別(上)

 いわゆる失踪人捜し、しかも背景にベトナム戦争があるなど、一昔前のハードボイルドを読んでいるかのような錯覚に陥るが。本作は2016年の作品だ。帯のキャッチの「原点回帰」などと謳っているのはそういうことかもしれない。
 だが、いざ読み始めると、もちろん当時のハードボイルドと印象は大きく異なるわけで、そればかりかボッシュものの初期作品ともけっこうな違いを感じる。家族(娘)のことを心配し、取り立ててドンパチもなく進んでいくストーリーに一抹の寂しさを感じるのも確かだ。ボッシュに対する圧力もないことはないのだが、かなりサラッとしたものである。
 まあ、それでも十分に面白く読ませるのは、さすがコナリーというしかないのだが。
 ともあれ作品自体の感想は下巻読了時に。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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