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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

小野純一/編『大阪圭吉自筆資料集成』(盛林堂ミステリアス文庫)

 ゴールデンウィーク最終日。新型コロナウイルス、延いてはテレワークの影響などもあって、仕事や読書や感想書きなどが混然一体となる非常に微妙なゴールデンウイークであった。といっても明日からもそれほど状況が変わるわけではないけれど。

 大阪圭吉自筆資料集成

 本日の読了本は盛林堂ミステリアス文庫から出た『大阪圭吉自筆資料集成』。
 『大阪圭吉 単行本未収録作品集』を刊行中の盛林堂・小野純一氏が、大阪圭吉の御子息が保存していた自筆資料をまとめた一冊である。自筆資料はすべて写真、しかもオールカラーで収録しており、それだけでページ数は256ページにも及ぶ。ネットで誰かが“大阪圭吉版の『奇譚』(乱歩の自筆ノートをまとめたもの)”と書いていたが、まさに正鵠を得た表現だ。
 これだけでも探偵小説の研究者らにはありがたいだろうが、さらに解説などが70ページ余つく親切仕様なのも嬉しい。管理人も書誌的なところはさっぱりなので、この解説も非常に価値のある部分である。
 ともかく戦前探偵小説のファンは必携。資料としても実に貴重な一冊。盛林堂さんの通販サイト「書肆盛林堂」ではまだ在庫があるようなので、気になった人はぜひ今のうちに。
プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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