昨日、勤め帰りに施川ユウキの『バーナード嬢曰く。』の5巻を購入し、帰りの電車で一気読みした。学校の図書館に集う本好き男女の読書アルアルをコミカルに描くギャグ漫画で相変わらずの面白さ。心にジンとくるエピソードもいいのだけれど、やはり本好きの下衆なところ、恥ずかしいところをピックアップするエピソードが堪らない。十年で五冊というスローペースだが、ぜひ末長く続けてもらいたいものである。
久しぶりに本関係の漫画を読んだせいか、もうちょっとソレ系の漫画を読みたくなり、積ん読のなかから山田英生/編『ビブリオ漫画文庫』を引っ張り出す。中身はタイトルどおり本をネタにした漫画のアンソロジーで、これが滅法面白かった。
ちなみに漫画を『探偵小説三昧』で取りあげるのは、もしかしたら初めてかもしれない。

Ⅰ 古書吟遊
山川直人「古本堂主人」
松本零士「古本屋古本堂」
Ⅱ 古本奇譚
水木しげる「古道具屋の怪」
おんちみどり「古本海岸」
諸星大二郎「古本地獄屋敷」/「栞と紙魚子」より
豊田徹也「古書月の屋買取行」
Ⅲ 本をめぐる奇人たち
楳図かずお「本」
湊谷夢吉「粗骨の果」
つげ忠男「古本詠歌」
Ⅳ 本の掌篇
Q.B.B.(作・久住昌之、画・久住卓也)「古本屋台」
いしいひさいち「文豪春秋」
Ⅴ 貸本屋とその周辺
西岸良平「キンタロウ文庫」/「三丁目の夕日」より
うらたじゅん「中之島の図書館で」
辰巳ヨシヒロ「古本・とんま堂主人」
Ⅴ 恋と古本
つげ義春「古本と少女」
南日れん「舞子」
近藤ようこ「夢」
山川直人「コートと青空」
※
永島慎二「ある道化師の一日」
収録作は以上。本という共通項で縛ってはいるけれど、ロマンスやギャグ、幻想、ホラー、ミステリっぽいものまでバラエティに富んだ構成である。もちろんこちらが本好きなので、かなりの補正はかかってしまうけれど、正直どれをとっても面白い作品ばかりである。
ここまで楽しめるとあまり優劣をつけたくはないが、強いていえば「古本地獄屋敷」とか「古本屋台」とか「古本と少女」が好み。ビブリオミステリを読んでいるときにはあまり感じたことはないが、ビブリオ漫画には、古本や貸本、昭和を感じさせるノスタルジックな世界観がよく似合う。
とりあえずは堪能。もっと早く読めばよかった。