Posted in 09 2023
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春日武彦『恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで』(中公新書)
ちょっと面白そうな新書が出ていたので早速目を通してみる。春日武彦の『恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで』である。
本書は精神科医の著者が、蠢く虫の群れ、密集したブツブツの集合体、高所や閉所、人形やピエロ、屍体などなど、さまざまな恐怖の対象を例に挙げて、恐怖する理由や正体について解説したというもの。
目次は以下のとおり。
「はじめに」
「第一章 恐怖の生々しさと定義について」
「第二章 恐怖症の人たち」
「第三章 恐怖の真っ最中」
「第四章 娯楽としての恐怖」
「第五章 グロテスクの宴」
「第六章 死と恐怖」
「おわりに」

ご存知のとおり管理人もこんなブログをやっているぐらいだから、怪奇小説やホラー映画は好きで読んだり観たりしているが、恐怖そのものについてあまり深く考えたことはなく、本書のテーマにまず惹かれた。また、恐怖は本来、避けたい感情であるはずだが、そのくせ小説や映画、人によっては絶叫系のマシンであえて体験しようとする。それはなぜかという興味もある。
本書でそれに該当するのが、「第一章 恐怖の生々しさと定義について」や「第四章 娯楽としての恐怖」あたりで、これらの興味にどう答えているか期待して読んだのだが、ううむ、これは正直期待はずれだった。
第一章はともかくとして、以後はテーマこそ微妙に変えてはいるが、ほぼほぼ恐怖の具体例を延々と紹介しているだけで、精神科医らしい解説は非常に少ない。なぜ蠢く虫の群れを怖いと思うのか、多少の考察はあるけれども、一般人でも言えるような内容である。
などとガッカリしていると、さらに追い打ちをかけるように「おわりに」では、「(前略)おそらく決定版の恐怖論など誰にも書き上げることは無理だろうが、せめてさまざまな考え方や感じ方について関心を持っていただければ、それだけで嬉しい」とある。
いやいや、すでに関心を持っているから著者なりの恐怖論を読んでみたかったのだし、だいたい自分で「無理」と書くぐらいなら、この書名はないし、最初からさまざまな恐怖譚を紹介するエッセイとしてほしい。もしかすると編集側の責任なのかもしれないが、著者にも責任とプライドを持ってほしいものである。
本書は精神科医の著者が、蠢く虫の群れ、密集したブツブツの集合体、高所や閉所、人形やピエロ、屍体などなど、さまざまな恐怖の対象を例に挙げて、恐怖する理由や正体について解説したというもの。
目次は以下のとおり。
「はじめに」
「第一章 恐怖の生々しさと定義について」
「第二章 恐怖症の人たち」
「第三章 恐怖の真っ最中」
「第四章 娯楽としての恐怖」
「第五章 グロテスクの宴」
「第六章 死と恐怖」
「おわりに」

ご存知のとおり管理人もこんなブログをやっているぐらいだから、怪奇小説やホラー映画は好きで読んだり観たりしているが、恐怖そのものについてあまり深く考えたことはなく、本書のテーマにまず惹かれた。また、恐怖は本来、避けたい感情であるはずだが、そのくせ小説や映画、人によっては絶叫系のマシンであえて体験しようとする。それはなぜかという興味もある。
本書でそれに該当するのが、「第一章 恐怖の生々しさと定義について」や「第四章 娯楽としての恐怖」あたりで、これらの興味にどう答えているか期待して読んだのだが、ううむ、これは正直期待はずれだった。
第一章はともかくとして、以後はテーマこそ微妙に変えてはいるが、ほぼほぼ恐怖の具体例を延々と紹介しているだけで、精神科医らしい解説は非常に少ない。なぜ蠢く虫の群れを怖いと思うのか、多少の考察はあるけれども、一般人でも言えるような内容である。
などとガッカリしていると、さらに追い打ちをかけるように「おわりに」では、「(前略)おそらく決定版の恐怖論など誰にも書き上げることは無理だろうが、せめてさまざまな考え方や感じ方について関心を持っていただければ、それだけで嬉しい」とある。
いやいや、すでに関心を持っているから著者なりの恐怖論を読んでみたかったのだし、だいたい自分で「無理」と書くぐらいなら、この書名はないし、最初からさまざまな恐怖譚を紹介するエッセイとしてほしい。もしかすると編集側の責任なのかもしれないが、著者にも責任とプライドを持ってほしいものである。