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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


エーリヒ・ケストナー『エーミールと探偵たち』(岩波書店)

 体調一向に回復せず、本日も休みをとる。ひきつづき家でごろごろしながら『刑事コロンボ/もう一つの鍵』。コロンボがひとつずつ状況証拠を固めていく件や、最終的に犯人と対決する部分は安定しており悪くはないのだが、犯人側に問題あり。犯行が雑だし、犯行後に慢心してゆく過程など、コロンボの相手としてはまだまだ物足りない。第一期の中ではもっとも落ちるかな。

 読了本はもういっちょケストナーで『エーミールと探偵たち』。これまた名作中の名作。
 ノイシュタットに美容師の母親と住むエーミールは、わんぱくだけれど勉強もできるうえに母親思いの少年。ベルリンに住むおばあさんの家へ遊びに行くことになったが、なんと列車の中でお金を盗まれてしまう。犯人の目星はついたが、いまや無一文で頼る者もいないエーミール。そんな彼をたまたま知りあったベルリンの少年たちが手助けすることになる。エーミールたちの活躍がここに始まった。
 『エーミールと探偵たち』は『飛ぶ教室』ほど自伝的要素はないけれども、根っこの部分は共通。正義や友情、家族の愛などはケストナーが一番伝えたいところなのだろう。ただし『飛ぶ教室』よりは対象年齢層が低く設定されているせいか、説教臭さはあまり感じられず、とにかく楽しさを前面に押し出しているのがいい。
 また、キャラクターの造形は相変わらず見事で、エーミールはもちろん教授君といった仲間の少年探偵が秀逸。ミステリーというほどではないが、最後の犯行の決め手となる証拠も鮮やか。大人がいま読んでも楽しめる傑作だ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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