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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ジャン=クリストフ・グランジェ『ヴィドック』(角川文庫)

 ヴィドックという探偵がフランスに実在したことをご存じだろうか?
 本日の読了本は、そのフランスの探偵ヴィドックを主人公にした作品、ジャン=クリストフ・グランジェ作の『ヴィドック』。

 時は十九世紀。舞台はパリ。凶悪犯から警官、そして探偵へと転じたヴィドックは、ある連続殺人の謎を追うが、逆に犯人に殺されてしまう。その死が報じられるや、ヴィドックの相棒、ニミエの元に現れたのが、ヴィドックの伝記作家を名乗るエチエンヌという若者だ。彼はヴィドックの死の真相を探るため、ヴィドックの捜査をなぞるようにして調査を進めてゆく。

 注目すべきは、これがグランジェの手による脚本だということ。グランジェといえば、あのジャン・レノ主演で映画にもなった『クリムゾン・リバー』の原作者。その彼が脚本を書き、日本でノヴェライズされた作品なのだ。
 この日本でのノヴェライズというのが引っかかり、最初は躊躇していたのだが、いや、これ、けっこういけるじゃん。予想していたよりは全然楽しめた。一応このパターンは、過去の大傑作に前例があるのだが、グランジェが上手く処理しているので、野暮は止めときましょう。

 惜しむらくは、これをグランジェ自身にノヴェライズしてほしかった。脚本からおこしているので仕方ないのかもしれないが、説明不足や書き込み不足のところが多く、大変もったいない。
 例えばヴィドックと警視総監ロートレンヌのお互いの信頼関係だとか友情だとか。ヴィドック自身が探偵をやることになったいきさつだとか。当時のパリの風俗だとか。錬金術への言及だとか。最近の翻訳ものは厚いものが多くて閉口することも多々あるのだが、これについてはもっとそこらを書き込んでくれれば、一層楽しめたのになと思う次第。
 ああ、映画の方も観たくなってきたぞ。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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