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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ボストン・テラン『神は銃弾』(文春文庫)

 本日は「讀髏居士」主催の新年会オフに参加。その前に目白、池袋界隈の古書店をひやかし、鮎川哲也『幻の探偵作家を求めて』をゲット。そのうち買おうと思っていたらいつの間にか書店から姿を消し、はや十年あまり。なぜか縁がなかったのだが、まさかここまで時間がかかるとは。まあ、ネットで買おうと思えば買えるのだけど、なんとなく自分で見つけたいというのがあるんだよな。

 肝心のオフ会では「讀髏居士」のお三方が初のそろい踏みで、遂にくみ長猊下にもお目見え。おお、やっぱり実在したんですね。「讀髏居士」の掲示板ではくみ長さんが滅多に姿を見せないため、もしや彼女は七味さんとみっちょむさんが創作した人物なのでは、と密かに疑っていたのだが、これで胸のつかえが下りた(笑)。
 宴会は長々と四時間にも及び、ミステリや映画の話などで大いに盛り上がったが、G&Sさんからは『Alice's Adventures under Ground』などをお借りしてニンマリ。これはルイス・キャロルがアリスに贈った手書き本をファクシミリ(複製)したもので、いま普通に書店で買える『不思議の国のアリス』の元になった作品。タイトルも不思議の国ではなくて、Under Ground、つまり地底の国。自筆に加えて絵までキャロル自身が描いているのだ。この手書きの本を見るにつけ、これを一人の幼い女の子にプレゼントするだけのために書き上げた、キャロルのある種の情熱というものには本当に恐れ入ります、いや、マジで(笑)。現代の日本でこれを実行し、広言した日にゃ、本当やばすぎです。それにしてもアリスがマイブームになりそうな新年早々。

 さて、本日の読了本はボストン・テラン『神は銃弾』。
 年末の「このミス」では堂々第一位に輝いたCWA新人賞受賞作で、ストーリーはいたってシンプル。娘をカルト集団にさらわれた男が、かつてそのカルト集団に属していた女と共に、敵を追い求めるというもの。

 評判どおりの力作で、私が引き込まれたのはやはりキャラクターの心理戦。といっても主人公と敵のぶつかりあいではなく(ま、それもありますが)主人公の男女のそれ。生き方のまったく異なる二人がそれぞれの価値観をぶつけ合い、罵り合い、だが少しずつ歩み寄る。この流れが個人的にはツボなのだ。

 ただ、いかんせん、こちらが正月モードに入っているせいもあって、この長さと殺伐さは少々胃にもたれる。もう少し刈り込んでくれた方がテンポもよくなっていいのではないかな、と思ったのも事実。とりあえず世間の評価はうなぎ登りのようだが、私としてはより洗練されるであろう第二作目を待ってみたいと思う次第。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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