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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ロジャー・スカーレット『ローリング邸の殺人』(論創海外ミステリ)

 DVDで『チャーリーズ・エンジェル フル・スロットル』を視聴。ノヴェライズはダメダメだが、映画版はもう何も考えずに楽しめる、っていうか考えたらだめだな(笑)。もう絶対にあり得ないアクションシーンの連発、サービス満点の演出、もったいないほど詰め込みすぎのストーリーと、テレビ版はもちろん前作をも遙かに凌駕する出来。悪役のデミ・ムーアもいい味出してます。


 本日の読了本はロジャー・スカーレットの『ローリング邸の殺人』。
 ケイン警視のもとへ訪ねてきたファラデーと名乗る男。彼は友人のアーロン・ローリングの命が危険にさらされているため、調査をしてほしいと依頼する。胡散臭いものを感じたケイン警視だったが、郵便で送られてきた一冊の本がきっかけで、結局ローリング邸を調べることにする。なりゆきからローリング邸で部屋を借りることになったケイン警視は、そこで暮らす人々からただならぬものを感じ、やがて……。

 『エンジェル家の殺人』や『猫の手』もよかったが、これも予想以上の出来。相変わらず設定やストーリーが地味で損をしているところはあるが、とにかくラストのインパクトが素晴らしい。このインパクトをより楽しむためには、しっかりと読み、できれば自分も論理的に考えていくこと。伏線の張り方がすこぶるフェアで、欺される歓びを素直に感じられるはず。
 また、ストーリーが地味と書いたが、登場人物は誰もが個性的であり、ケイン警視と彼らのやりとりを中心に話が進むから退屈することはない。しかもこの性格が個性的という部分すら、作者は巧みに使っているから見事だ。

 論創社はこうなったら『白魔』や『密室二重殺人事件』もぜひとも新訳で出してほしい。

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Comments

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yasminさん

丁寧に書かれたいい探偵小説ですよね。私はロジャー・スカーレットのなかではこれが一番好みですが、他のも失望することはないと思いますよ。
ただ、いまネットで見てみたら創元の『エンジェル家の殺人』だけはどうやら品切れのようです。とはいえいくつかのネット古書店では在庫を見かけましたので、検索をかけてみてはいかがでしょうか。

Posted at 01:20 on 02 10, 2009  by sugata

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この本、先日読みました。
一気に読んでしまうほど、おもしろかったです!
地味かもしれませんが、
その地味さが好きなのかも。

4冊は翻訳されているのですね。
早速他の本も読もうと思います。

Posted at 09:51 on 02 09, 2009  by yasmin

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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