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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


クリスチアナ・ブランド『マチルダばあやといたずらきょうだい』(あすなろ書房)

 昨日のことになるが、ようやく『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』を観る(ややネタバレありにつき注意)。

 『ワールド・エンド』は確か二作目と同時に作られたと記憶するが、それでも三作目で明かされる各種の事実に納得いかないものが多すぎて、しょせんハリウッド映画はこんなものだろうと思いながらも、結局釈然としない。
 前作であれだけ苦戦したクラーケンがいつのまにか死んでいたり、ジャックが彷徨う死後の世界の設定の弱さ、肝心の海賊たちの見せ場のなさ、とってつけたようなカリプソの正体&復活後の行動の意味不明さなど、単純につまらないと思えるところも多い。
 ラストの大渦巻き上で行われる二隻の帆船でのバトルはなかなかのものだが、それ以外は全般的にだめだめ。とにかくもったいない企画である。おそらくは要素を詰め込みすぎてまったく消化しきれていないのであろう。ストーリーを締めるピリッとしたポイントがないのである。少なくとも一作目はそれがあったのにねぇ。


 本日の読了本はクリスチアナ・ブランドの『マチルダばあやといたずらきょうだい』。
 クリスチアナ・ブランドといえばもちろん英国を代表する女流探偵小説作家。コックリル警部を探偵役とするシリーズが有名で、ポケミスで多くの著書が読める(ただし最初に読むなら創元推理文庫の短編集『招かれざる客たちのビュッフェ』あたりがおすすめ)。

 そんな彼女が、実は三作ものジュヴナイル作品を残している。三作すべてにマチルダばあやが登場し、『マチルダばあやといたずらきょうだい』はそのシリーズ第一作目にあたる。
 児童書なので話は単純。あるところにブラウンさんという一家が暮らしており、そのたくさんの子供たちはとにかくいたずらが大好き。そこで彼らがみんないい子になるよう、マチルダばあやがやってきて、きちんと躾けるというお話。

 まず最初にことわっておくと、残念ながらミステリ色は皆無。
 基本的には子供たちのいたずらに笑って、さらにマチルダばあやの懲らしめ方にまた笑えばよいと思う。書かれた時代ゆえにかなり残酷な描写や差別的な描写が多く、ブラックなイメージもなかなか。この辺はブランドの面目躍如といったところか。
 ただし純粋に児童向けの物語なので、当然ながら相応に説教臭は強く、子供ばかりではなく親もまた一緒に成長しなければというメッセージも含まれている。子供は大人を映す鏡であるという言い方があるが、それをしっかり反映させた作品でもある。

 なお、本書は以前に『ふしぎなマチルダばあや』というタイトルで学習研究社から出ていたものの復刻版である。

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Comments

Edit

Sphereさん

>エリザベスも呪われていっしょに船に乗れよ、というのが一致した意見。

わはは、そこまで言いますか。女性は怖いです。
まあ、あのラストはけっこう意外といえば意外でしたけど、ジャックの影がちょっと薄いのは残念でした。

Posted at 23:54 on 07 11, 2007  by sugata

Edit

「パイレーツ~」は私も1が一番バランスがとれていて良いと思います(^^; ちなみに友人たちの間では3のあのラストが不評です。エリザベスも呪われていっしょに船に乗れよ、というのが一致した意見。
それはそうと、クリスチアナ・ブランドにジュヴナイルがあるとは知りませんでした・・

Posted at 21:37 on 07 11, 2007  by Sphere

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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