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 エド・マクベインの『湖畔に消えた婚約者』を読む。
 
 婚約者と共にドライブ旅行に出た若き三級刑事のフィル。ところが湖畔のモーテルに泊まった夜、彼女が忽然と消え失せてしまった。彼女を捜索するフィルだが、なぜか出会った人すべてが、そんな婚約者などいなかったと証言する。果たしてこの町で何が起こっているのか……?

 「主人公以外、誰も覚えていない失踪人」という設定は、昔から魅力的なテーマのようで、『幻の女』や『バルカン超特急』の例を出すまでもなく様々な作品でお目にかかる。その割には驚くほどのネタでもないのが困るのだが、まあ、推理小説である以上、本当にそんな人物がいなかったというオチは絶対ないわけで、証言した全員がなんらかの事情で嘘をついているか、もしくは主人公が何らかの錯誤を犯しているかぐらいしか、理由はないわけである。この辺をいかに料理するかが作家の腕の見せどころなのだろう。
 本作は1957年に発表された旧い作品(87分署が始まったばかりの頃)で、さすがに舞台設定などはノスタルジックな印象を否めないものの、マクベインの読ませる技術は早くも確立されている。先に書いた失踪した婚約者の謎も、正直大したことはないのだが、とにかく話をつなぐのが巧く、一気に読ませる。基本は主人公の一人称だが、違うタイプの刑事を途中ではさんでアクセントをつけたりする小細工もなかなか。
 あくまでB級サスペンスの域は超えないが、暇つぶしには最適の一冊。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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