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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


鮎川哲也『山荘の死』(出版芸術社)

 出版芸術社の鮎川哲也コレクション挑戦篇I『山荘の死』を読む。鮎川哲也の短編から「読者への挑戦」を付されたものを集めたシリーズの一作目だ。このシリーズは全三作になるそうだが、「読者への挑戦」の付いた作品がこんなにあるとは思わなかった。まことに本格一本槍で作家人生をまっとうした著者らしい。まずは収録作から。

「達也が嗤う」
「ファラオの壷」
「実験室の悲劇」
「山荘の死」
「Nホテル・六〇六号室」
「伯父を殺す」
「非常口」
「月形半平の死」
「夜の散歩者」
「赤は死の色」
「新赤髪同盟」
「不完全犯罪」
「魚眠荘殺人事件」

 で、感想だが、せっかく挑戦ものとして組まれた作品集なのだが、あまり挑戦云々に固執するとクイズ性が強くなりすぎ、小説としての面白みが激減する印象を受けた。
 面白みのない文章を読まされ、ただただ文中から犯人の犯したミス探しをするような、そんなクイズまがいの小説は正直読みたくない。「読者への挑戦」を否定するわけではないし、稚気は歓迎するところだが、当時の事情として、それにこだわる必要があったのだろうか。
 そんな中での幸福な例外が「達也が嗤う」。まあ、有名な作品なので今更という感じもするが、メイントリックの使い方といい、遊び心といい、最高である。他では「山荘の死」「赤は死の色」。三作ともある意味「山荘もの」となったところに、個人的な趣味も出ていて思わず苦笑。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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