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 先頃、創元推理文庫で復刊されたばかりの、シャーリイ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』を読む。
 元版は学研ホラーノベルズとして1994年に刊行されたものだから、まだ11年しか経っておらず、確かに入手困難本とはいえ、ある意味早すぎる復刻に、お手軽な商売をやっているなと最初はやや冷ややかなイメージもあったわけだ。だが、調べてみると意外や意外きっちり新訳で出しているようなので、これはすまんと購入し、さっそく読み終えた次第である。

 ブラックウッド家を襲った毒殺事件。残された者はコニーとメアリーの姉妹、そして二人の叔父のジュリアンの三人だけであった。しかも毒殺犯人としてコニーが疑われたことから、村人はブラックウッド一家を忌み嫌うようになり、今では一家は極力外界との接触を避け、独自のルールのもとに日々の暮らしを送っていた……。

 物語はブラックウッド家の次女、メアリーを通して語られる。事件のショックと毒の影響で車椅子の世話になり、精神的にも不安定な叔父。村人から殺人犯だと思われている恐怖のため外にまったく出られなくなってしまったコニー。メアリーはそんな二人に代わって、買い物など最低限の外界との接触を保っている。
 ところがところが。読み進むにつれて、どうやら一番壊れているのがメアリーらしいことが徐々に明らかになり、読み手は一気に不安に叩き落とされる。まともな者など誰もいないこのお城で姉妹はいったいどうなるのか。とても救いがありそうに思えないこの物語はどんな終焉を迎えるのか。何ともいえない居心地の悪さ。気色悪さ。
 本作は一見ホラーのようでもあるが、いわゆる怖い話とはちょっと違う。むしろ「不安」や「不愉快」というキーワードこそふさわしい。
 今宵、悪い夢を見たい人には、ぜひ一読をオススメする。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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