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チャールズ・ウィリアムズ『土曜を逃げろ』(文春文庫)
久々にだらだらと休みを過ごしている。本を読み、DVDを観て、気が向いたらPCでネットや資料整理など。
読了本はチャールズ・ウィリアムズの『土曜を逃げろ』。
鴨撃ちから戻ってきた「私」を待っていたのは、保安官からの尋問だった。人間も撃ったのかという無礼な問いに、ムシャクシャしながら帰宅すると、今度は妻の死体が待っていた。いったい何が起こっているのだ? 「私」は頭をフル回転させ、すぐさま行動を開始した……。
著者のチャールズ・ウィリアムズは日本での知名度こそいまひとつだが、アメリカではペイパーバックを中心にして活動し、なかなかの人気を誇った作家である。
とはいえ日本では数年前に扶桑社から出た『絶海の訪問者』が少し評判になったぐらいで、あとは創元推理文庫の『スコーピオン暗礁』と本書があるのみ。それほど期待もせずに読み始めたのだが、どうしてどうして。
スピーディーな展開といい、しっかりと立ったキャラクターといい、実に読ませるではないか。文庫にして200ページ弱という分量なので、あっという間に読み終えたが、これはページ数だけの問題ではなく、やはり読ませる技術の高さである。とりわけ主人公が危機に陥ってからの展開は、実に引き込まれる。変にエピソードをつなぐことをせず、ストレートに事件を追い、ぐいぐい物語を引っ張っていく。そこには最近の長すぎるサスペンスでは決して味わえない爽快感とスリルがある。
B級ではあるけれど、こういう小粋な作品がもっともっと紹介されるといいなぁ。
読了本はチャールズ・ウィリアムズの『土曜を逃げろ』。
鴨撃ちから戻ってきた「私」を待っていたのは、保安官からの尋問だった。人間も撃ったのかという無礼な問いに、ムシャクシャしながら帰宅すると、今度は妻の死体が待っていた。いったい何が起こっているのだ? 「私」は頭をフル回転させ、すぐさま行動を開始した……。
著者のチャールズ・ウィリアムズは日本での知名度こそいまひとつだが、アメリカではペイパーバックを中心にして活動し、なかなかの人気を誇った作家である。
とはいえ日本では数年前に扶桑社から出た『絶海の訪問者』が少し評判になったぐらいで、あとは創元推理文庫の『スコーピオン暗礁』と本書があるのみ。それほど期待もせずに読み始めたのだが、どうしてどうして。
スピーディーな展開といい、しっかりと立ったキャラクターといい、実に読ませるではないか。文庫にして200ページ弱という分量なので、あっという間に読み終えたが、これはページ数だけの問題ではなく、やはり読ませる技術の高さである。とりわけ主人公が危機に陥ってからの展開は、実に引き込まれる。変にエピソードをつなぐことをせず、ストレートに事件を追い、ぐいぐい物語を引っ張っていく。そこには最近の長すぎるサスペンスでは決して味わえない爽快感とスリルがある。
B級ではあるけれど、こういう小粋な作品がもっともっと紹介されるといいなぁ。
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たまにこういう読ませるマイナー作家(あくまで日本での話ですが)がいるから、油断はできません。どの作品も当時の書評などではそれなりに高い評価を受けているのですが、一般にアピールするほどのウリがないのが惜しまれます。本作の主人公だって、ハードボイルドっぽい言動はなかなかよいのですが、職業は小さな町の不動産屋の親父ですからね。人に紹介するときに、もうひとつインパクトに欠けるのは否めません(苦笑)。
なお、古本屋ではけっこう頻繁に見かけますので、あきらめずにお探し下さい。
Posted at 19:26 on 09 29, 2007 by sugata