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 先日観たDVDの話など。ブツは『パフューム ある人殺しの物語』。
 小説好きにとっては、文藝春秋から刊行されたパトリック・ジュースキントの『香水』の映画化といった方がとおりはいいだろう。
 このパトリック・ジュースキントの原作は実に傑作であって、そもそも主題に「香り」を選んだ時点で、既に成功は約束されていたのかもしれない。匂いを嗅ぐという行為に関して、ここまで突き詰めた小説はかつてなかったし、しかもその主題をただ語るのではなく、ある種の宗教や哲学にまで高めたうえ、それをさらに自ら逆手にとって見事なエンターテインメントに料理するという技術は、並大抵のことではない。
 そんな一癖もふた癖もある小説だから、映画化といってもハードルは相当に高いはずで、監督はじめ制作スタッフの苦労もハンパではなかっただろう。正直、それほどの期待はせずに観たのだが……。

 結論から言うと、まずまず面白かった、というところか。気のない感想で申し訳ないが(苦笑)、映画は完全にストーリーありきの娯楽作品に徹しすぎている。
 例えば、この話においては実は表層的な意味でしかないエログロの部分を、とりあえず映像の美しさに頼りつつガンガン押し出しているところや、どんでん返しを意識したラストなど、こうやれば売れるだろうな話題になるだろうな、という作り手側の思惑がひしひしと伝わりすぎるのである。
 そのくせ肝心の「香り」を映像として表現すること、また、香りを発端として、それが宗教や哲学にまで昇華することの意味など、その辺の掘り下げについては物足りなかったりする。
 確かに悪くはない。客観的にはかなり面白い作品だとは思う。だが、原作を読んだ人間にとっては、こういうエンターテインメントに走るような作品ではないはず、というどこかしっくりこない気持ちもまた働くのである。
 まあ、こっちが小説を美化しすぎているという可能性もあるので、断言はできないんだけど。
 誰か観た人いますか?


テーマ:ミステリー映画 - ジャンル:映画





Kazuouさん
そうですね、そもそもの動機が説明不足ですよね。本人に体臭がないという辺りも、映画では実にあっさりと流していたのが悔やまれます。

Sphereさん
うへえ、そういう方面の会社にお勤めだったのですか。私も、獣油で体臭を集めるという方法自体がそもそも間違っているという話をどこかで読んだことはありましたが、まさかそこまでツッコミどころ満載とは。さすが専門家の意見は違います。

でも皆さん、文句を言いながらも、けっこう映画も認めていらっしゃいますね。私も映画は映画として楽しめましたし、キャストもけっこう気に入ってます。主役のベン・ウィショーもけっこうはまり役だと思いますし、スネイプ先生が出ていたことにも驚きでした(笑)。
【2007/10/11 00:58】 URL | sugata #-[ 編集]

これは映画館で観ますた。
おっしゃる通り哲学的な側面はカットされてますが、原作を超えるのはムリと最初から思っていたせいか、映画としては総じて傑作であると思いました。香りも(悪臭に限り)映像でけっこう表現できていたと思いますし、ラストの広場でのシーンは、あれは映像ならではのインパクトではないかと。個人的にはもと香料会社に勤めていたので、知識はあったけど実際には見たことがない昔の香りの抽出法を見ることができたのが嬉しく、高評価につながっている気もします。
ただ、読んだときはそれほど違和感はなかったのですが、いかに個人の能力が優れていても香料の性質としてあり得ないことがいくつかあり、映像でみると「ウソウソ、ぜったい無理」と冷めてしまったのが残念です。フレーバリストの友人はアジア各国の香料関係者11名で見に行って全員笑ったと言ってました。笑う映画じゃないと思うんですが(^^;
なんかマニアックな感想ですみません<(_ _)>
【2007/10/10 20:48】 URL | Sphere #-[ 編集]

おっしゃる通り、映画は原作ほどではなかったような…。
映画だけだと、主人公が殺しをしてまで「究極の香り」を追い求める理由が、あんまりわからないですよね。
映画もそれなりに出来のいい作品だと思うけど、やっぱり原作の素晴らしさを再認識させられた、といったところでしょうか。
【2007/10/10 20:25】 URL | kazuou #-[ 編集]















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