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 リチャード・S・プラザーの『ハリウッドで二度吊せ!』を読む。
 かわいい女の子を自宅に連れ込んで、いいムードで食事の準備に入っていた私立探偵シェル・スコット。ところがそこへ、ハリウッドで有名な芸能誌の発行者ウェイヴァリーから仕事の依頼が入る。だがシェルがウェイヴァリーのオフィスへ行くと、彼は激怒したまま副社長パイクの家へ向かったと知らされる。さらにパイクの家へ向かったシェルを待っていたのは、夥しい数の警察と、ギャングの一味だった……。

 典型的なB級ハードボイルド。勇ましく口の減らない私立探偵を主人公に、アクションとお色気とユーモアで味つけし、束の間の息抜きを与えるお手軽な娯楽作品である。謎も適度には入っているが、論理で解決するようなことはもちろんなく、主人公の腕と口が頼り。
 加えて本作はハリウッドを舞台にしているせいか、アクションもお色気もやや過剰であり、同じハードボイルドとはいっても、チャンドラーやハメット、ロスマクとはかなりの隔たりがあるのは致し方ないところ。
 しかし、だからといって切り捨てるのもちょっともったいない。この勢いに任せた作者のサービス精神をこそ汲んであげるべきで、とりわけラストでシェル・スコットが仕掛ける作戦は馬鹿馬鹿しいながらも楽しめる。主人公のシェル・スコットもなかなかキャラクターとしては面白いし、もう少し翻訳されてもいい作家ではないだろうか。
 まあ必読とは口が裂けても言いませんが(笑)。

 ところで、今でこそ「論創海外ミステリー」の方向性もクラシック本格系に定まりつつあるが、刊行当初は何でもありで、本書のようなB級ハードボイルドも少なくなかった。世間の声では圧倒的に本格を望む声が多いようだが、個人的にはこういう作品ももっと紹介してもらいたいものだ。
 ただ、元々は読み捨てのペイパーバックだから、それを2千円前後のハードカバーで出すのはいかがなものかという気持ちはある。値段もあるけれど、この内容でハードカバーはないよなぁ。いっそのこと、本格系はそのまま論創海外ミステリーとしてこのままハードカバーで出し、ハードボイルドや犯罪小説といったパルプマガジン系は、文庫や新書などのよりチープな形にして別シリーズにするというのはどうだろう?


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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