- Date: Sat 02 09 2006
- Category: 海外作家 デュ・モーリア(ダフネ)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
- Response: Comment 0 Trackback 0
ダフネ・デュ・モーリア『破局』(早川書房)
先月が期末で案の定後半はばたばた。他の仕事もなぜか同時にピークを迎えて、先週は月曜から木曜までずっと午前様という始末だったが、ようやく落ち着きを取り戻しつつある。
ダフネ・デュ・モーリアの『破局』を読む。改装版異色作家短編集、目玉のひとつ。個人的には『レベッカ』よりも短編集『鳥』でこの人の凄さを認識したこともあるし、第一、これまで古書でゲットする機会がなかったので、喜びもひとしお。
収録作は以下のとおり。
The Alibi「アリバイ」
The Blue Lenses「青いレンズ」
Ganymade「美少年」
The Archduchess「皇女」
The Lordly Ones「荒れ野」
The Limpet「あおがい」
異色作家短編集の楽しみといえば、鮮やかなオチとか心理的な恐怖、といったものがメインになろうかと思われるが、デュ・モーリアの作風は、それらの要素とは似ているようでまた少し異なった趣がある。
「あおがい」などは特にその傾向が顕著で、主人公の奇妙な疎外感とでもいおうか、屈折した心理が怖いような可笑しいような、微妙なタッチで語られる。その他の作品も、おおむね主人公と周囲のズレを描いたものが多く、作品世界の持つ不安定感(不安感ではに)が魅力ともいえるのではないか。
とにかく期待に違わぬハイレベルの作品集。おすすめ。
ダフネ・デュ・モーリアの『破局』を読む。改装版異色作家短編集、目玉のひとつ。個人的には『レベッカ』よりも短編集『鳥』でこの人の凄さを認識したこともあるし、第一、これまで古書でゲットする機会がなかったので、喜びもひとしお。
収録作は以下のとおり。
The Alibi「アリバイ」
The Blue Lenses「青いレンズ」
Ganymade「美少年」
The Archduchess「皇女」
The Lordly Ones「荒れ野」
The Limpet「あおがい」
異色作家短編集の楽しみといえば、鮮やかなオチとか心理的な恐怖、といったものがメインになろうかと思われるが、デュ・モーリアの作風は、それらの要素とは似ているようでまた少し異なった趣がある。
「あおがい」などは特にその傾向が顕著で、主人公の奇妙な疎外感とでもいおうか、屈折した心理が怖いような可笑しいような、微妙なタッチで語られる。その他の作品も、おおむね主人公と周囲のズレを描いたものが多く、作品世界の持つ不安定感(不安感ではに)が魅力ともいえるのではないか。
とにかく期待に違わぬハイレベルの作品集。おすすめ。
- 関連記事
-
-
ダフネ・デュ・モーリア『人形』(創元推理文庫) 2018/03/04
-
ダフネ・デュ・モーリア『いま見てはいけない』(創元推理文庫) 2018/02/20
-
ダフネ・デュ・モーリア『破局』(早川書房) 2006/09/02
-