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 ポール・ドハティーの『赤き死の訪れ』を読む。
 大の酒好きで、捜査中に飲み過ぎて居眠りまでしてしまうという体たらくのクランストン検死官。過去に重い罪と深い心の傷を負い、その贖罪の日々を送るべく托鉢修道士として暮らしながら、ひとたび事件が起こればクランストンを支えて活躍するアセルスタン。
 本作はそんな二人の名コンビによる中世歴史ミステリ第二弾である。

赤き死の訪れ

 ロンドン塔の城守、ラルフ・ホイットン卿が塔内の一室で惨殺された。話によると卿は数日前に謎の手紙を受け取っており、それ以来ひどく様子がおかしかったという。だが惨劇はこれで終わりではなかった。謎の手紙はホイットン卿の周囲の人間にも届いており、一人、また一人と命を奪われてゆく……。

 本作がちょっと面白いのは、クランストンとアセルスタンの二人にもそれぞれ個人的な問題がおこり、その謎がメインの事件と平行して語られること。この三つの事件がそれぞれどのように関係し、どのように決着をつけてくれるのか、ここが読みどころと言ってよいだろう。
 正直、メインの謎はそれほど大したことがないのだが、相変わらず歴史ものとしての興味やキャラクター造りの巧さは見事で、これプラス先に挙げた立体的な謎の構成などが加わるから、トータルではまず申し分ない出来映え。
 ただ、贅沢な注文だとは思うが、やはりキャラクターに頼りすぎているのが気になるところ。できれば謎解きにもう少しだけ寄ってほしいとは思う。あっと驚く仕掛けがもうひとつぐらいあると完璧なのだが。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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