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古時計の秘密

 すっかりジュヴナイルモードに入ってしまった感のある今日この頃。本日は海外での定番でもある「ナンシー・ドルー・シリーズ」、その第一作『古時計の秘密』を読む。翻訳ものの児童書ではアレンジや抄訳など当たり前だが(超訳などとは異なり、これは理解できるし仕方ないこと)、創元版ではあえて原作に忠実に訳することで、既刊との差別化を図ったという。こんな話。

 ナンシ・ドルーは弁護士の父親をもつ才気煥発な18歳。あるとき橋から落ちた女の子を助けたことがきっかけで、その子を育てる貧しい老姉妹と知り合いになり、彼女たちの身の上を知ることになる。話によると姉妹はこれまで援助してくれていた親切な紳士が亡くなったため、経済的に苦しんでいるらしい。しかも紳士は姉妹に遺産を残す予定だったが、強欲な一家に遺産を独り占めされてしまったというではないか。さらには、紳士が他にも困っている多くの人々に援助をしていたことが判明。ナンシーは皆を助けるべく、残されているはずの遺言書を見つけ出そうとするが……。

 驚くなかれ本書が書かれたのは1930年。あの乱歩の少年探偵団とほぼ同時期に生まれ、脈々と書かれ続け、読まれ続けてきた人気シリーズである。今回、その作品をおよそ三十五年振りぐらいに再読して、あらためてその人気の理由を再認識できた。
 勧善懲悪の爽快感、スピーディーでテンポのよい展開、適度なスリル等々、子供を飽きさせない工夫が非常に盛り込まれており、今こうしてオッサンになった自分が読んでも普通に楽しめる。同じ児童向けの少年探偵団やホームズ、ルパンものに比べるとアッという驚きや謎解きの要素はないのだが、この爽やかさは「ナンシー・ドルー・シリーズ」ならではのものであり、家族で楽しめるということも人気の大きなアドバンテージになっているといえるだろう。
 唯一、引っかかるのは18歳というナンシー・ドルーの年齢か。その言動はどうみても中学生程度であり、この幼さに違和感を感じるとやや辛くなるかもしれない。まあ、脳内で15歳ぐらいに置き換えて読めば、あまり気にはならないけれども(笑)。
 本国ではハウスネーム的に複数の作者によって書き継がれ、今では200作を越える作品があるというが、どうせ着手したのだから創元はせめてオリジナルの56作までは刊行してほしいものである。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





まゆきさん

おお、シンクロニシティ。確かにそういうことありますよね。

ところでキャロリン・キーンですが、最初に「ナンシー・ドルー」を書いたのはエドワード・ストラッテメイヤーという人です。作家でありながら出版業にも手を出し(逆かもしれませんが)、とにかく良質の児童文学を送り出す使命感に燃えていたようですね。「殺人は扱わない」というのも、そういう使命感から出た方針のひとつのようで、これは事実らしいです。

また、ハウスネームはけっこう海外では普通のことで、メジャーどころではニック・カーター、エラリー・クイーン、ブレット・ハリデイなんかが有名ですね。
日本ではハウスネームの例は少なく、鷹見緋沙子ぐらいでしょうか。ただ厳密に言うと、これもハウスネームとは少し意味合いが異なりますけどね。
【2008/01/26 01:16】 URL | sugata #-[ 編集]

こんにちは~!共時性というのか(?)、私の友達の間でもこの作品が話題となっておりました。私はぜんっぜん知りませんでしたけど…;;
友達いわく、殺人を起こさないということを決まりの一つにしているとか…。本当でしょうか?
大人が子供に与えるもの、として、「子供に何を与えるか」をよく考えている「創作工房」なのだ、と聞きました。
日本にも、そんなふうに何人かが一つの作品を手掛け続けているということはあるのでしょうか?
すごくめずらしいなーと思いました。
【2008/01/25 10:25】 URL | まゆき #iydQorAY[ 編集]















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