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 ローレンス・ブロックのバーニイ・ローデンバー・シリーズから『泥棒は深夜に徘徊する』を読む。翻訳されているなかでは最新刊だが、これで何とシリーズ十作目。まるで心のバランスを保っているかのように、ブロックは「スカダーもの=陰」と「バーニイもの=陽」を交互に書き分けてきたが、バーニイものは陽といっても底抜けの明るさではなく、飄々とした楽しさを醸し出しているのがミソだ。少々理屈っぽいセリフ回しなどもあるので若干の好き嫌いは出るだろうが、総体的には万人向けの、実にまったりと楽しめるシリーズである。

 泥棒は深夜に徘徊する

 ある夜のこと。バーニイは仕事の下見に出かけるが、職業病のなせるワザか、たまたま目についたアパートへどうしても侵入したくなる。ところが侵入したのも束の間、いきなり住人が戻ってきたではないか。しかもベッドの下へ慌てて隠れたものの、とんでもない事件を目撃する羽目に。なんとか難を逃れたバーニイだったが、今度は街角の防犯カメラがバーニイの姿を捉えていたとかで、殺人事件の容疑者となってしまう。果たしてバーニイの運命やいかに?

 上でも書いたが、泥棒バーニイ・シリーズの特徴は独特のまったり感でありユーモアである。ハッキリ言って凝ったプロットや複雑なストーリーはこのシリーズには必要なく、キャラクターや雰囲気を楽しむだけの筋立てがあればよいわけだ。したがって、このシリーズを楽しむには、著者に笑いのセンスが近いことが何より大切であろう。パラパラッと本書を開いてみて、バーニイとキャロリンの会話が、あるいはバーニイとレイの会話が楽しめる人であれば、間違いなく買って損はないはずだ。

 ただ、そう思っているのは管理人のようなファンだけであって、意外に著者はマンネリに陥らないよう、相当苦労している節もある(シリアスではないシリーズなのだから個人的にはマンネリも全然OKなのだが)。そして残念なことに、本作ではそれがやや悪い方向に出たようだ。
 一番の問題は真相が複雑すぎることだろう。読者に飽きられないよう凝ったプロットを考えた結果なのだろうが、とにかくわかりにくい。バーニイが本格よろしく謎解きを始めるラストは毎度のことで、楽しい場面のはずなのだが、その謎解きすらも最初は歴史のお勉強から入る始末。事件の背景をこんなところで長々とやられてもなぁ、というのが正直な感想。
 事件に直接絡む部分も同様だ。バーニイの説明だけでは事件の全貌がサクッと見えてこないのも痛い。読者を置いてきぼりにしている感が強く、一通り説明されただけではなかなか頭の中で再構築できないのである。比較的長い作品であることも裏目に出ており、伏線がどうとか確かめる気力も失せるというものだ。
 バーニイものはだいたい安定株なのだが、本作は久々に低調。会話の面白さやマニア向けのくすぐりなどはいつもどおりだし、中盤あたりまではストーリーもなかなか快調だっただけに、ちょい残念な結果であった。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





makiさん

お役に立てて光栄です。今後ともよろしくお願いします。

しかし、書店にポケミスが置いてないとは困ったものですね。
かくいう私も高校生の頃までは大変な田舎に住んでいたので、ポケミスを買うには電車で2時間かかったものです(苦笑)。
今ではネット書店がありますから、便利になりましたよね。
ブロック、相変わらずの面白さですから、ぜひぜひ楽しんでください。
【2008/03/13 00:51】 URL | sugata #-[ 編集]

初めまして。

ブロックは大好きなのですが、新刊が出ていたのに気づきませんでした…ポケミス置いてある書店が減ってきていていろいろと苦労しています。
さっそく注文しようと思います。教えてくださってありがとうございました。
【2008/03/12 09:05】 URL | maki #mxyayG2g[ 編集]















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