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S・H・コーティア『謀殺の火』(論創海外ミステリ)
本日の読了本はS・H・コーティアの『謀殺の火』。
タイトルとカバーデザインはけっこう内容を素直に表しているのだが、これがもうひとつインパクトに欠け、設定の面白さや奇抜さが全然伝わってこない。そのためなかなか読む気になれなかった一冊だったのだが、いやいや、これはいいじゃないですか。

渓谷に小さな集落を構え、酪農を中心にして暮らす人々がいた。だが、あるとき渓谷を大火災が襲い、36人の住民のうち9人が死亡するという悲劇が起こる。六年後、一人の男がその原因を究明しようと渓谷にやってきた。手がかりは渓谷で死んだ友人から送られてきた数々の手紙。果たして渓谷で彼がたどりつく真相とは……?
本作で注目すべきは、何といってもその結構にある。登場人物はほぼ主人公一人といってよい。彼が火災のあった渓谷を訪れ、親友の手紙をもとに焼け跡を巡り、事件の核心に着実に迫っていく構成は、実にスリリングだ。オーストラリアの過酷な大自然を背景にしていることも、独特の雰囲気を醸し出すことに成功しており、登場人物が一人とは思えないほどの不思議な迫力に満ちている。もちろん本格マインドも十分。
終盤、ある人物が登場することによって、逆に緊張感やサスペンスが失速気味になるのはやや残念だが、ラストではしっかりもう一撃食らわせてくれることもあるので良しとしよう。何より著者のチャレンジ精神、オリジナリティを高く評価したい。
なお、著者のS・H・コーティアはオーストラリアのミステリ作家。オーストラリア出身の作家といえば、最近ではパトリシア・カーロン、古いところではアーサー・アップフィールドなんてところが有名だが、先輩たちに続いて、コーティアもこの一作で日本に名を残すはずだ。
タイトルとカバーデザインはけっこう内容を素直に表しているのだが、これがもうひとつインパクトに欠け、設定の面白さや奇抜さが全然伝わってこない。そのためなかなか読む気になれなかった一冊だったのだが、いやいや、これはいいじゃないですか。

渓谷に小さな集落を構え、酪農を中心にして暮らす人々がいた。だが、あるとき渓谷を大火災が襲い、36人の住民のうち9人が死亡するという悲劇が起こる。六年後、一人の男がその原因を究明しようと渓谷にやってきた。手がかりは渓谷で死んだ友人から送られてきた数々の手紙。果たして渓谷で彼がたどりつく真相とは……?
本作で注目すべきは、何といってもその結構にある。登場人物はほぼ主人公一人といってよい。彼が火災のあった渓谷を訪れ、親友の手紙をもとに焼け跡を巡り、事件の核心に着実に迫っていく構成は、実にスリリングだ。オーストラリアの過酷な大自然を背景にしていることも、独特の雰囲気を醸し出すことに成功しており、登場人物が一人とは思えないほどの不思議な迫力に満ちている。もちろん本格マインドも十分。
終盤、ある人物が登場することによって、逆に緊張感やサスペンスが失速気味になるのはやや残念だが、ラストではしっかりもう一撃食らわせてくれることもあるので良しとしよう。何より著者のチャレンジ精神、オリジナリティを高く評価したい。
なお、著者のS・H・コーティアはオーストラリアのミステリ作家。オーストラリア出身の作家といえば、最近ではパトリシア・カーロン、古いところではアーサー・アップフィールドなんてところが有名だが、先輩たちに続いて、コーティアもこの一作で日本に名を残すはずだ。
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