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鬼の末裔

 出版芸術社から刊行された「三橋一夫ふしぎ小説集成」の二巻目『鬼の末裔』を読む。まずは収録作から。

「不思議な帰宅」
「湯河原奇遊」
「二人のユリ」
「殺されるのは嫌だ」
「白鷺魔女」
「カボチャ奇譚」
「怪獣YUME」
「角姫」
「帰り来りぬ」
「蛇恋」
「歯型」
「影」
「鬼の末裔」
「あそこにもう一人の君が」
「暗殺者」
「三井寺の鐘つき男」
「女怪」
「沈黙の塔」
「帰って来た男」

 もう今さら三橋一夫の短編について語ることはあまりなくて、以前に書いたこんな感想あんな感想を参考にしていただければと。とにかく未体験の人はとりあえず読んでほしい。それぐらい良い短編が目白押し。
 ただ、正直いうと中には他愛ない話もあるわけで、それを感じさせないところが三橋一夫の武器でもある。では、なぜ感じさせないのかと言えば、それはひとえに語り口の良さにあるのではないか。どことなくユーモラス、なんとなく温かなその文章は、たとえ残酷な話であっても常に後味の良さを残す。
 同じ幻想的な短編の書き手でも、これが城昌幸あたりになるともう少しクールなイメージで、それが乱歩をして「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と言わしめた。三橋一夫の場合、その対極とは言わないまでも、少なくともベクトルは反対方向を指している。
 実をいうと、それでも以前はもう少し尖ったイメージも感じていたのだが、読めば読むほどその作品の底に流れるヒューマニズムを強く感じるようになってきた。単なる「不思議な話」というだけではない。三橋一夫の持つそんな一面をも感じられれば、より楽しめること請け合いなのだ。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





kazuouさん

若い頃は刺激がほしいというか(笑)、どうしてもオチの鮮やかさなどに目を奪われてしまいますよね。
三橋一夫の作風はオチも悪くないのですが、むしろそれ以外の部分により魅力を感じるようになりました。やがて明朗小説でも名を挙げる三橋ですが、根本的にそういう資質を多分に備えた方だったのではないでしょうか。
【2008/04/13 22:59】 URL | sugata #-[ 編集]

おっしゃる通り、他愛無い作品でも読ませてしまうところが、三橋一夫の魅力ですね。
たぶん代表作に数えられる『カリガッチ博士』なんかも、よく考えると、物語としては陳腐なような気がするんですが、読んでいる間はそんなこと気になりませんでしたし。
海外の「異色短篇」でも、三橋一夫みたいな暖かみのある作風って、あんまりないような気がします。
【2008/04/13 21:57】 URL | kazuou #-[ 編集]















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