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 河出文庫の紀行ミステリーから『仙台ミステリー傑作選』を読む。まずは収録作。

小林久三「わが青春の仙台」(序文)
小林久三「東北新幹線殺人事件」
高城高「X橋付近」
都筑道夫「七月・星の女」
高橋克彦「妻を愛す」
阿刀田高「瑠璃色の底」
藤雪夫「遠い春」
中井英夫「人形たちの夜・秋」

 仙台ミステリー傑作選

 本書の刊行は1987年。当時であれば、目玉は何といっても高城高であろう。序文や解説でも、高城高の消息について言及されているぐらいであり、当時であればその名前を知っているミステリファンも少なかったはず。ところが今では文庫全集化もスタートし、その作品にずいぶん手軽に接することができるようになったため、ありがたみはやや減ってしまった感じである(苦笑)。

 まあ、それはともかく。
 中身の話に移ろう。仙台といえば歴史や観光等で非常に特徴的な地であるから、そういった要素の活かし方はどの作品も比較的しっかりしているようだ。ただ、一部の作品をのぞくと、やや全般的に低調な感じは否めない。謎解き系のミステリがずいぶん少ないのも気になる。
 そういう意味で「東北新幹線殺人事件」のようにオーソドックスなサスペンスは好印象。やや詰め込みすぎのせいかバタバタしている嫌いはあるが、ラストシーンはどんでん返しも含めてきれいに決めている。
 また、今さら言うまでもないのだが、「X橋付近」は日本流のハードボイルドがどのように進化していったのか、その道標たる意味合いで必読。
 中井英夫の「人形たちの夜・秋」は連作短篇のひとつでこれだけでも読めるが、やはりまとめて読む方が吉かと。
 正直、それら以外はいまひとつで、なんとも物足りなさの残る一冊であった。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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