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ルーファス・キング『不思議の国の悪意』(創元推理文庫)
『不変の神の事件』に続いて、もういっちょルーファス・キング。〈クイーンの定員〉にも選ばれた『不思議の国の悪意』である。収録作は以下のとおり。
Malice in Wonderland「不思議の国の悪意」
Miami PapersPlease Copy「マイアミプレスの特ダネ」
The Body in the Pool「淵の死体」
To Remember You By「思い出のために」
Let Her Kill Herself「死にたいやつは死なせろ」
Agree-or Die「承認せよーさもなくば、死ね」
The Body in the Rockpit「ロックピットの死体」
The Pills of Lethe「黄泉の川の霊薬」

タイトルからしてひと癖もふた癖もありそうで、もしかすると「奇妙な味」の路線かと予想したのだがあに図らんや。意外にもオチの効いたサスペンス系の作品がほとんどである。なかには謎解きをメインにした本格風味もあるのだが、それらの作品もロジックを楽しむとかいうよりは、あくまで意外性を楽しむのが胆。こじゃれた雰囲気を演出するのが上手く、テンポも軽快なことから、全体の味わいはウールリッチに近いと感じた。
ただ、オビに書かれているような「潜み棲む悪意」「クイーンのお墨付き」という景気のいい惹句に期待しすぎるのはよくない。確かに事実ではあるのだが、昨今の、刺激の強いスリラーや複雑怪奇な本格に慣れてしまった向きには、やや物足りなく感じることもあろう。誇大広告とまでは言わないけれど、あくまでクラシックとして楽しむのが吉。
とりあえず個人的には十分楽しめる短編集であり、特に表題作である「不思議の国の悪意」は、設定の妙とサスペンス、謎解きが程良くブレンドされた佳作である。この一作のために買っても損はしないはずだ。
Malice in Wonderland「不思議の国の悪意」
Miami PapersPlease Copy「マイアミプレスの特ダネ」
The Body in the Pool「淵の死体」
To Remember You By「思い出のために」
Let Her Kill Herself「死にたいやつは死なせろ」
Agree-or Die「承認せよーさもなくば、死ね」
The Body in the Rockpit「ロックピットの死体」
The Pills of Lethe「黄泉の川の霊薬」

タイトルからしてひと癖もふた癖もありそうで、もしかすると「奇妙な味」の路線かと予想したのだがあに図らんや。意外にもオチの効いたサスペンス系の作品がほとんどである。なかには謎解きをメインにした本格風味もあるのだが、それらの作品もロジックを楽しむとかいうよりは、あくまで意外性を楽しむのが胆。こじゃれた雰囲気を演出するのが上手く、テンポも軽快なことから、全体の味わいはウールリッチに近いと感じた。
ただ、オビに書かれているような「潜み棲む悪意」「クイーンのお墨付き」という景気のいい惹句に期待しすぎるのはよくない。確かに事実ではあるのだが、昨今の、刺激の強いスリラーや複雑怪奇な本格に慣れてしまった向きには、やや物足りなく感じることもあろう。誇大広告とまでは言わないけれど、あくまでクラシックとして楽しむのが吉。
とりあえず個人的には十分楽しめる短編集であり、特に表題作である「不思議の国の悪意」は、設定の妙とサスペンス、謎解きが程良くブレンドされた佳作である。この一作のために買っても損はしないはずだ。
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