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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


横溝正史『聖女の首』(出版芸術社)

 横溝正史探偵小説コレクションの掉尾を飾る『聖女の首』を読む。

「金襴護符」
「海の一族」
「ナミ子さん一家」
「剣の系図」
「竹槍」
「聖女の首」
「車井戸は何故軋る」
「悪霊」
「人面瘡」
「肖像画」
「黄金の花びら」

 上から五作が戦時中のノンシリーズもの、次の五作が戦後に発表されたもので、金田一シリーズの原型になった作品。最後の一作はジュヴナイルの金田一ものという構成。戦時中の作品では、ミエミエながらも「ナミ子さん一家」が良い感じ。これって松竹新喜劇のパターンだよなぁ(笑)。
 戦後のものは、金田一作品として一度は読んでいるはずなのに、あまり内容を覚えていないおかげでどれも大変楽しめる。やはり謎解きという観点で見ると、戦後作品の方が明らかに一枚上であろう。「車井戸は何故軋る」は短いながらも当時の長篇に負けないぐらいの密度があり、好きな作品である。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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