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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


マイケル・ギルバート『愚者は怖れず』(論創海外ミステリ)

 マイケル・ギルバートの『愚者は怖れず』読了。
 とある中学校の校長、ウェザロールは大変に正義感の強い男だが、同時に好奇心の強い男でもある。要は身の回りに起こった出来事に口を出さずにはいられない性格なのだが、とうとうそれが災いし、ウェザロールはとんでもない大事件に巻き込まれる羽目になる……。
 ミステリーとしてはそれほど評価できる作品ではない。主人公の推理と行動は、それほど理にかなったものでもなく、どちらかというと騎士道精神や正義感によって衝動的に行動したりするため、成り行きによるところが大きい。事件が大規模なだけに、主人公の活躍がよけいに感じられるほどだ。
 もちろん作者にしてみればそんなことは百も承知なのだろう。明らかに本書の肝は、このドン・キホーテ的な主人公を通じて、正義や社会の在り方を問うことにある。だが、メッセージ性の強さと、エンターテインメントとの両立は可能なわけで、昨日読んだばかりのポール・ギャリコ『恐怖の審問』などはもっとスマートにそれを実現していたように思う。そんなわけで本書は物足りなさばかりが後に残ってしまった。残念。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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