- Date: Tue 09 12 2008
- Category: 海外作家 リッチー(ジャック)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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ジャック・リッチー『ダイアルAを回せ』(河出書房新社)
ジャック・リッチーの『ダイアルAを回せ』を読む。日本での作品集はこれで三冊目となるが、相変わらずハイレベル。

Deadline Murder「正義の味方」
Politic Is Simply Murder「政治の道は殺人へ」
Ten Minutes from Now「いまから十分間」
Shatter Proof「動かぬ証拠」
Fair Play「フェアプレイ」
Anyone for Murder?「殺人はいかが?」
The Third-Floor Closet「三階のクローゼット」
Cardula and the Kleptomaniac「カーデュラと盗癖者」
The Return of Cardula「カーデュラ野球場へ行く」
Cardula and the Briefcase「カーデュラと昨日消えた男」
Hung Jury「未決陪審」
The 23 Brown Paper Bags「二十三個の茶色の紙袋」
Murder Off Limits「殺し屋を探せ」
Dial An Alibi「ダイアルAを回せ」
The Griggsby Papers「グリッグスリー文書」
本書には大きく三つの系統に分類される作品が収録されている。
まずはいつもどおりの、捻りを利かせたノン・シリーズ作品。謎解き風味は少なく、ラストのオチで読ませるといった趣であり、完成度も高い。ミステリの面白さを人にオススメするならこれか。
もうひとつが吸血鬼を探偵役に起用し、その特殊能力を存分に発揮して事件を解決に導くカーデュラ・シリーズ。設定が奇抜で、主人公の特殊なキャラクターはもちろん内容に活かされてはいるけれども、ミステリのスタイルとしては意外にオーソドックスでクセがない。それが好ましくもあり、弱点でもあり。
最後はオフビート・ミステリのターンバックル刑事シリーズ。事件の裏を読みすぎるばかりにアサッテの方向へ捜査を進め、どうなることやらと思っていると、結果的には見事に事件を解決するというパターン。やや無理矢理な作品もあるが、構成は巧い。ミステリのパロディ的展開がマニア向けといった印象を与えるし、実際ミステリ的教養がそこそこあった方がより楽しめるとは思うが、書き方そのものは平易なのであまり構えて読む必要もないからご安心を。なお、本書にはターンバックルの元祖的シリーズのバックル刑事ものも一編収録されている。
ジャック・リッチー全般でいうと個人的にはターンバックルものが好みなのだが、本書に関していえばノン・シリーズの諸作品が素晴らしい。今となってはオチの読める作品もないことはないが、贅沢をいうと切りがない。冒頭から繰り出される「正義の味方」「政治の道は殺人へ」「いまから十分間」「動かぬ証拠」「フェアプレイ」「殺人はいかが?」はまさに至福のひとときである。

Deadline Murder「正義の味方」
Politic Is Simply Murder「政治の道は殺人へ」
Ten Minutes from Now「いまから十分間」
Shatter Proof「動かぬ証拠」
Fair Play「フェアプレイ」
Anyone for Murder?「殺人はいかが?」
The Third-Floor Closet「三階のクローゼット」
Cardula and the Kleptomaniac「カーデュラと盗癖者」
The Return of Cardula「カーデュラ野球場へ行く」
Cardula and the Briefcase「カーデュラと昨日消えた男」
Hung Jury「未決陪審」
The 23 Brown Paper Bags「二十三個の茶色の紙袋」
Murder Off Limits「殺し屋を探せ」
Dial An Alibi「ダイアルAを回せ」
The Griggsby Papers「グリッグスリー文書」
本書には大きく三つの系統に分類される作品が収録されている。
まずはいつもどおりの、捻りを利かせたノン・シリーズ作品。謎解き風味は少なく、ラストのオチで読ませるといった趣であり、完成度も高い。ミステリの面白さを人にオススメするならこれか。
もうひとつが吸血鬼を探偵役に起用し、その特殊能力を存分に発揮して事件を解決に導くカーデュラ・シリーズ。設定が奇抜で、主人公の特殊なキャラクターはもちろん内容に活かされてはいるけれども、ミステリのスタイルとしては意外にオーソドックスでクセがない。それが好ましくもあり、弱点でもあり。
最後はオフビート・ミステリのターンバックル刑事シリーズ。事件の裏を読みすぎるばかりにアサッテの方向へ捜査を進め、どうなることやらと思っていると、結果的には見事に事件を解決するというパターン。やや無理矢理な作品もあるが、構成は巧い。ミステリのパロディ的展開がマニア向けといった印象を与えるし、実際ミステリ的教養がそこそこあった方がより楽しめるとは思うが、書き方そのものは平易なのであまり構えて読む必要もないからご安心を。なお、本書にはターンバックルの元祖的シリーズのバックル刑事ものも一編収録されている。
ジャック・リッチー全般でいうと個人的にはターンバックルものが好みなのだが、本書に関していえばノン・シリーズの諸作品が素晴らしい。今となってはオチの読める作品もないことはないが、贅沢をいうと切りがない。冒頭から繰り出される「正義の味方」「政治の道は殺人へ」「いまから十分間」「動かぬ証拠」「フェアプレイ」「殺人はいかが?」はまさに至福のひとときである。
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はじめまして。
狐さんは編集者志望なんですね。今は高校生なのでしょうか?
私でよければ知っている範囲でお話はできますが、プライベートな内容も含むでしょうから、以後はメールにしませんか。ページの右下にメールフォームがありますので、そちらから改めてお願いします。
ひとくちに編集といっても、作るものや会社によってかなり仕事内容は違ってきます。まずは狐さんがどういう仕事をイメージしているのか、はたまたどういう仕事をしたいのか、そのあたりから聞かせてもらえれば、多少のアドバイスはできるかと思います。
ではでは。