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 もう散々っぱらあちらこちらで語られているので、今さらすぎるのだが、ようやく『ダークナイト』を観た。そう、バットマンの映画第六作、新シリーズでいえば『バットマン ビギンズ』に続く第二作目の作品。
 もともとその重く暗い世界観で他のアメコミ・ヒーローものとは一線を画すバットマン・シリーズだが、最初の四作はまだ試行錯誤の印象も強かった。しかし『バットマン ビギンズ』の成功で、そのスタイルは完全に決定づけられた。メッセージ性の強さ、ダークなコミックの世界観そのままの再現、シリアスなドラマ、凝りに凝ったシナリオ等々。
 渡辺謙の出演シーンやヒマラヤでの修業時代など、日本ではどうしても厳しい受け取られ方をする部分もあったが、トータルでは十分な出来であった。意地悪な言い方をすると、思わぬ拾い物をしたという印象で、これはそこまでシリーズの質が落ち込んでいた証しでもある。
 とにかく『バットマン ビギンズ』でシリーズは新たな局面に入った。
 そして『ダークナイト』。

 いや、確かに騒がれるだけの作品だ。シリーズ中では文句なしのNo.1だし、そもそもドラマとしてもかなりのハイレベルである。
 前作『バットマン ビギンズ』の長所をそのままパワーアップしたといえばわかりやすいだろう。
 よく言われるのは、バットマンとジョーカーのもつ相似性であったり、善悪に対する根源的な問いかけであったりというメッセージの部分。まあ、非常に深読みができるテーマなので、多くの人がメッセージ性を長所に挙げるのは十分理解できる。
 また、役者の演技も見事というほかない。これもよく言われることだが、ヒース・レジャー演じるジョーカーは確かに凄い。ジャック・ニコルソンの重荷によくぞ耐えた。
 だが個人的には、本作の最大の見どころは、細部まで固められた構成にあると考える(若干、盛り込みすぎの嫌いはあるが)。
 まあ、これも既に多くは語られたことばかりなのだが、本作はそもそもアメコミをベースにしたSF特撮アクションものである。それを意外なまでにバトルとアクションを抑え、逆に人間の心理やサスペンスでヤマ場をもってくるところなど、シナリオと演出のレベルは尋常ではない。
 特にオープニングの銀行強盗シーンはのっけからゾクゾクした。強盗同士が淡々とつぶし合うところ、反撃するイカレた銀行員、そして最後に残った強盗と倒れた銀行員の会話の上手さ。ここまで一気に気持ちを持っていってくれるオープニングはそうそうない。このレベルのエピソードがそれこそラストまで綿々と連なるので、もう飽きるわけがないのである。

 今年最初の一冊はいまひとつだったけれど、最初の一本は上々な滑り出しである。満足。




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