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 『松本清張短編全集02青のある断層』を読む。『01西郷札』に続く初期の短編を集めたもので、質の方も相変わらず素晴らしい。ミステリマニアからすれば松本清張といえば社会派推理小説の大家だが、一般には歴史作家としての側面も強く、本書でも収録作のほとんどが歴史ものである。
 ただ、清張にとっては、ミステリにせよ歴史小説にせよ、突き詰めてゆけばどちらも人間の業を描くための手段に過ぎないのであろう。本書を読んでますますその意を強くした。

 松本清張短篇全集2青のある断層

「青のある断層」
「赤いくじ」
「権妻」
「梟示抄」
「酒井の刃傷」
「面貌」
「山師」
「特技」

 収録作は以上。印象に強く残ったものでいうと、まずは表題作「青のある断層」か。この時期の数少ない現代もので、個人的には本書のベスト。ある青年が描いた売れるはずもないその未熟な絵を、なぜ銀座の画廊は興味をもって買いとり続けるのか……? 画壇の内幕ものという読み方はもちろんできるが、むしろ芸術に関わる人間の性や業という点で興味深かった。無論ミステリではないが、“奇妙な味”といえないこともない。
 「赤いくじ」は戦時中の物語で、ある将校と軍医がひとりの戦争未亡人をとりあう話。三角関係というだけでは済まされない、社会や世情の闇を扱った悲しい話である。
 歴史ものでは、本人のコンプレックスを反映させたと「あとがき」でも述べられている「面貌」が注目。ただ「面貌」もそうだが、「権妻」や「酒井の刃傷」など、清張の作品は独特の無常観に包まれていることの方がより気になる。


テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌





涼さん

今年は清張生誕100年ですから、誕生月の12月までこれからもっと盛り上がるんじゃないでしょうか。おすすめの長篇などありましたら教えてくださいね。

なお、宮野村子は今月下旬の発売ですが、論創社のHPでもまだ正式な日は出ていないようです。
【2009/03/08 22:19】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

こんばんは

最近また静かなブームですね。文春文庫のものを幾つか買いました。
昭和40年代から50年代にかけて、発行される度に買って読んで、その頃出たものは殆ど読んだように思っていましたが、未読もあったようです。

このシリーズも、挑戦してみます。

先日ご紹介下さった「宮野村子探偵小説選」は、これから出るのですね。
【2009/03/08 18:24】 URL | #LkZag.iM[ 編集]















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