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ドナルド・E・ウェストレイク『空中楼閣を盗め!』(ハヤカワ文庫)
ドナルド・E・ウェストレイクの『空中楼閣を盗め!』を読む。この人の作品もずいぶん読んだはずだけど、けっこう読み残しも多くて、そもそもスタークやタッカー・コウなど別名義分はほとんど読んでない。追悼、というわけでもないが、ぼちぼち読み進めなければ。ううむ、いつもこういうことばかり書いている気が……。

南米のとある小国では大統領がクーデターとゲリラの突き上げにあい、秘かに国外脱出を考えていた。問題は莫大な資産をどうやって運び出すかだ。そこで思いついたのが、折しもパリで開催される万国博覧会。ここに城を丸ごとパビリオンとして再現する計画なのだが、城を分解して運び出す際、その城石をくりぬいて中に金銀財宝を詰め込み、こっそり持ち出そうというのだ。
しかし、この計画はまもなく凄腕の泥棒ユースタスの知るところとなる。彼は一世一代の大仕事に、ヨーロッパ中の腕利きの泥棒、詐欺師、金庫破りたちを集め、これを盗み取ろうとするのだが……。
一応は、城を盗むという壮大なホラ話が前提のミステリだが、これはもう読者に笑ってもらいたいだけで書いているようなものだろう(笑)。
一番のキモは、泥棒たちがイギリスやドイツ、フランス、イタリア等、各国混成チームのところ。互いに言葉が通じないことから起こる誤解をドタバタに変換しつつ、アクセル全開でぶっとばしてゆく。おまけにお国柄を揶揄するようなネタもオンパレードで、いまならさしずめ『ヘタリア』のノリか。登場人物も多くて最初はけっこう読みにくいし、やや散漫な印象もあるけれど、中盤に入る頃からは一気。
オチもかなり笑えるし、暇つぶしとしてはなかなか強力な一冊である。

南米のとある小国では大統領がクーデターとゲリラの突き上げにあい、秘かに国外脱出を考えていた。問題は莫大な資産をどうやって運び出すかだ。そこで思いついたのが、折しもパリで開催される万国博覧会。ここに城を丸ごとパビリオンとして再現する計画なのだが、城を分解して運び出す際、その城石をくりぬいて中に金銀財宝を詰め込み、こっそり持ち出そうというのだ。
しかし、この計画はまもなく凄腕の泥棒ユースタスの知るところとなる。彼は一世一代の大仕事に、ヨーロッパ中の腕利きの泥棒、詐欺師、金庫破りたちを集め、これを盗み取ろうとするのだが……。
一応は、城を盗むという壮大なホラ話が前提のミステリだが、これはもう読者に笑ってもらいたいだけで書いているようなものだろう(笑)。
一番のキモは、泥棒たちがイギリスやドイツ、フランス、イタリア等、各国混成チームのところ。互いに言葉が通じないことから起こる誤解をドタバタに変換しつつ、アクセル全開でぶっとばしてゆく。おまけにお国柄を揶揄するようなネタもオンパレードで、いまならさしずめ『ヘタリア』のノリか。登場人物も多くて最初はけっこう読みにくいし、やや散漫な印象もあるけれど、中盤に入る頃からは一気。
オチもかなり笑えるし、暇つぶしとしてはなかなか強力な一冊である。
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ポール・ブリッツさん
>個人的には刑務所を隠居先に回顧録を書こうとしている老大泥棒を無理やり脱獄させるシーンが好きです。
ああ、私もここ好きですね。あと印象に残っているのは、夜、ホテルで革命女戦士の部屋に、男たちがわらわらと集まってくるところかな。ベタですが笑えます。
Posted at 22:41 on 04 11, 2009 by sugata