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 読みたくても絶版で読めない本というのがある。インターネットのお陰でとりあえず軍資金さえあれば大抵の本が何とかなる時代とはいえ、それでも書影を見ることすら叶わない本はやっぱり存在するのだ。それが戦前の本とかいうならまだしも、ほんの三十年前には新刊書店でゴロゴロしていたものまであるわけで、最近はミステリの復刻ブームやクラシックブームといわれるものの、意外と脆弱な基盤の上に立ったブームかもしれないなとも考える次第。

 神戸70s青春古書街図

 まあ、そんなことを思ったのも、ネット書店から届いたばかりの野村恒彦『神戸70s青春古書街図』を読んだから。
 著者の野村恒彦氏は、関西の探偵小説愛好会である「畸人郷」を主催する御仁。その野村氏が探偵小説を求め、日夜神戸の古書店を歩き回った若き日の思い出をまとめたのが、本書『神戸70s青春古書街図』である。
 紹介されている古書店は神戸とその周辺にほぼ限られているから、それ以外の地域の人にはあまり面白くないかと思われるかもしれないが、古書好きや探偵小説好きには、ほとんどそんなことは関係なかろう。要するに古書と探偵小説の両方とも好きなら、まず買って損はないと。趣味を同じくする人の話は、それが自慢話だろうが、失敗談だろうが、関係なく楽しめる。
 とはいえ、収録されているエピソードが最近のものならここまで面白くは読めなかったろう。高校時代以後のグラフィティになっているからこその興味である。

 なお、帯にある「サイケで熱かった頃の神戸を巡るミステリー・ツアー」というキャッチはさすがに勇み足。気持ちはわかるし、結果的にそういう読み方をするのはいいのだけれど、売り手がこの本を文化論のように扱うのはちょっと卑しい感じがする。ま、これは著者ではなく編集者の責任だけど。


テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌




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