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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ロバート・ムーア『名探偵登場』

 監督ロバート・ムーア、そして脚本はあのニール・サイモンが担当した『名探偵登場』をDVDで観る。
 この世はアンフェアなミステリだらけ、読者を愚弄するだけのミステリはもう要らないと憤るミステリマニアの大富豪ライオネル・トゥェイン。彼は古今東西ジャンル不問の名探偵5人を邸宅に集め、殺人を予告して、真っ向から推理勝負を挑む。

 ミステリマニア向けの映画としてはけっこう有名な方だと思うが、それはミステリ映画としてではなく、ミステリを徹底的に馬鹿にして遊んでいる映画だから。ポアロやミス・マープル、サム・スペード等をモデルにした探偵たちにハチャメチャな推理合戦をやらせたり、ミステリの定石をコケにするかのようなギャグ、ストーリーをこれでもかというぐらいぶちかます。いやとにかく楽しい。三十年も昔の作品なので、ベタな笑いが多いし、若干くどすぎる演出もあるが、すべての要素を無駄なくネタにしてしまう制作者たちの情熱にはほとほと感心する(笑)。
 すべてのミステリファンにオススメしたいところだが、注意してほしいのは、まともに考えすぎないこと。ストーリーの粗さや伏線の意味の無さ、推理の根拠などを気にしてはいけないってこと。ミステリのそういう要素をからかって遊ぶのが本作の正しい見方であり、敢えてそういうふうに作っているのである。

 なお、本作はキャストも豪華。フォークにセラーズの両ピーター、アレック・ギネス、デビッド・ニーブンなどなど。しかも大富豪ライオネル・トゥェインに至っては、あのトルーマン・カポーティだ。彼の演技を観るだけでも本作は一見の価値ありかも。

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Comments

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めとろんさん

そうそう、TV放映時の吹き替え版がかなり豪華なんですよね。残念ながら、それは未収録です。っていうか、このDVDはおまけがとにかく貧弱で(T_T)

Posted at 02:01 on 05 08, 2009  by sugata

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蛇足

ああ、そうでした。キーティングでした。流石です!

確か、2作ともTV放映時の日本語吹き替えはDVDに入っていなかったような。
小池フォークと羽佐間セラーズが傑作で、もともとの楽しさを何倍にも増幅していたのが印象に残っています。
ぜひ、吹き替え収録してほしいですね!

昔、ウッディ・アレン主演の『ボギー!俺も男だ』を観て、その面白さが少しも理解できなかった記憶がございます。(笑)ちなみに、最近CSで松本清張原作の『愛のきずな』を初鑑賞して、「若い時の藤田まことって、ボギーに少し似てるな…」と思いました。蛇足です。(笑)

拙いコメントで申し訳ありませんが、また訪問させていただきます!

Posted at 00:20 on 05 07, 2009  by めとろん

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めとろんさん

ボガートに関しては語るほど映画を観ていないのも、『~再登場』に踏み切れない理由のひとつです。さすがに『カサブランカ』や『マルタの鷹』あたりは押さえていますが、その他どこまで観ておくべきか、というのはなかなか考えてしまいます。こういうのは原典を知っているほど楽しめますしね。

なお、実はノヴェライゼーションは両方ともほぼリアルタイムで読んでおります。ニール・サイモン名義ですが実作者はH・R・F・キーティングですね。このときの『~再登場』は、自分の経験値があまりにも足りず手強すぎました。それもあって、映画の方も少しボガート的教養を高めてから、などと思っています。

Posted at 20:58 on 05 06, 2009  by sugata

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再登場、好きです。

こんばんは!めとろんです。

『名探偵登場』『~再登場』と聞けば、やはり馳せ参じてしまいました。(笑)

この2作品、脚本が同じニール・サイモンで、一応一貫したコンセプトのもとに製作されたと見て間違いないでしょうね。

『~再登場』、世評悪いですか・・・。基本的には『カサブランカ』と『マルタの鷹』のパロディを軸に、当時のハードボイルド映画の愛に包まれた映画ですよね。
「本格」と「ハードボイルド」、どちらにも仁義を通したニール・サイモンの侠気でしょうか。(笑)

ピーター・フォークの愛すべき"ボギー演技"は楽しいし、『四つ数えろ』などよりは馬鹿さ加減が足らないとは言え、なかなかの出来だと思うのですが・・・。ただ、彼らの『カサブランカ』等をはじめとするボギーへの愛を、共有できないとどうしようもないので、日本人には少々敷居の高い作品になっているかも知れません。

そういえば、ノヴェライズに関しては、じつは有名作家の変名だったような…。今思い出せない(笑)ので、また思い出したらお知らせしますね。

Posted at 20:14 on 05 06, 2009  by めとろん

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少佐さん、ポール・ブリッツさん

皆さん、両方観てらっしゃるとはさすがです。
ピーター・フォーク主演の『名探偵再登場』は、ハンフリー・ボガートのハードボイルド映画のパロディですね。ストーリーはまったく関係ないけれど、スタッフが共通なので、姉妹編といったところでしょうか。一応、こちらも持っているんですが、世評の悪さに実はまだ観てないんですよね……(苦笑)


少佐さん

サタスウェイトの『名探偵登場』は面白かったですか。これは読んでみないと、ですね。こんなこともあるかと思い、何年も前にリアルタイムで購入しておりますので、絶版でもへっちゃらです(爆)。


ポール・ブリッツさん

いま、観てみると、けっこう楽しめるんじゃないでしょうか。とにかくミステリの定義、コード、ルール等、いちいち肴にしているのが凄いです。基本的にはブラックなので、それが生理的に駄目な人はいるでしょうけれど。

Posted at 23:15 on 05 05, 2009  by sugata

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この映画は、前にテレ東の放送で見ましたが、なにも予備知識がなかったため、真相とか動機とかをマジメに考えすぎて、面白がるよりも怒ってしまいました(^^;)
今の冷静な目で見れば、また違ってくるのでしょうけど、うーんマイナスイメージしかありません(^^;)
続編(?)の「名探偵再登場」は、とりあえずは合理的な解決がついたと記憶しているので、とりたててとりえのないハードボイルドタッチのコメディ映画ではありますが、本作よりは好きです。でもあれ、本当にこの作品と地続きだったのかなあ。

Posted at 11:21 on 05 05, 2009  by ポール・ブリッツ

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懐かすぃ! 初めてテレビの洋画劇場で観たときは衝撃でした。借りてきてまた見直そうかな。これ確か、「続」みたいのありましたよね。ピーター・フォークが出るというだけで直接関係なくてまったく面白くなかった記憶が…。更に関係ないけどウォルター・サタスウェイトの同名小説は面白かった(現在入手不可なのが残念)。

Posted at 09:05 on 05 05, 2009  by 少佐

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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