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 既にご存じの方も多いと思うが、栗本薫氏が亡くなった。享年、五十六歳。
 最近の作品こそ読んではいなかったが、高校生の頃に『ぼくらの時代』を読んでショックを受け、一時期は完全にはまっていた作家だけに、本日のニュースには正直、衝撃が走った。

 早くから完成された小説技術をもち、しかもその博学から繰り出す作品の幅広さ。ミステリからSF、時代小説、青春小説とおよそ小説と名のつくものはすべてこなし、しかも恐ろしいほどのスピードで量産し、おまけに評論までをもこなす。音楽にも強く、さらには邦楽や歌舞伎といった日本の伝統芸能にも詳しい。
 彼女は正に天才であった。
 そして同時に偉大なるオタクでもあった。
 薫君シリーズや伊集院大介シリーズを次々と放ち、売れっ子作家としての道を歩み始めながら、同時に書いていたのは、今思えば同性愛やキャラ萌えの作品ではなかったか。今西良シリーズなどはわかりやすい例であろうが、先に挙げた薫君シリーズや伊集院大介シリーズ、グイン・サーガ、魔界水滸伝に至るまで、中期以降の彼女の作品にはその香りがとりわけ濃厚である。
 腐女子ややおいといった言葉もなかった時代、栗本薫は正にその代弁者であり、その香りを嗅ぎつけた読者が知らず惹かれていき、彼女の信者となっていった。
 晩年は癌との闘いに明け暮れていた感もあろうが、それでも彼女はありあまる才能を駆使し、自分が遊べる世界を自分の手で作り上げ、幸せな一生を過ごしたようにも思う。

 偉大なるオタクの女王の早すぎる死。
 ご冥福を心よりお祈りいたします。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記





じょーなさん

いらっしゃいませ。
小説の創作ということであれば、まさに最初の五年間は突っ走っていた印象が残りますね。私もこの時期のものは中島梓名義も含め、すべて読んでいました(グイン・サーガはすいません、五巻で挫折しました)。早すぎる死が実に悼まれます。
【2009/06/02 01:30】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

驚きました。
このブログで初めて知りました。。
本当に最近世事に疎い事痛感します。

彼女は自身の作品を他人の手で舞台化されるのを嫌い。
自ら劇団を主催するほど、自己の表現に、作品に対して全く妥協を許さない人でもあったと思います。

このタイトルをみて4回叫んでしまいました。
ここで記されているように非常に多作で、その過密スケジュールが窺われます。
悼む気持ちとともに、力一杯走り去った人生に満足をしているじゃなかろうかと、納得したりもします。

書きながらも少し目が潤んできます。
本当にご冥福を祈ります。
【2009/05/31 23:40】 URL | じょーなさん #-[ 編集]

香ん乃さん

そうですね。普通のニュースでは語られないでしょうが、BLの世界を切り開き、多くのBL作家を見出した功績は、非常に大きいと思います。サブカルを語ることは誰にでもできますが、その一ジャンルを確立することは並大抵のことではありません。


ポール・ブリッツさん

今、判断すると確かに『大誘拐』の方が分はいいですよね。
ただ、『ぼくらの時代』はミステリを越えたところにアピールする力がありました。青春小説と書くと安っぽくなってしまいますが、作風は新鮮でしたし、メイントリックはしょぼいものの作品自体の仕掛けはなかなかのものです。何より一番の武器は、著者の若さと知性とぬるめの反体制的スタイルでしょう。それが乱歩賞の構成要件たるかといわれれば、さすがに肯定はできませんが(笑)、アピールの武器としては十分すぎるはず。当時の勢いは完全に栗本薫のものだったのでしょう。
【2009/05/29 01:03】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

 sugataさん、こんにちは。

 昨日、たまたま聴いていたラジオで栗本さんの訃報を知って、呆然となりました。

>彼女は正に天才であった。
>そして同時に偉大なるオタクでもあった。

 初めて彼女を知ったのが、小学生の頃に見ていたクイズ番組でした。栗本さんは「中島梓」としてレギュラーの回答者で、その知識の豊富さに、子供心に驚きました。

 後年、私がいわゆる腐女子になったとき、『グインサーガ』よりも彼女のほかのどの作品よりも先に、栗本さんのボーイズラブの小説を知りました。この世界では、既に女王のような存在でした。

 中島さんと栗本さんが同一人物だったと知ったのもその頃で、ひっくり返りそうなほど驚いたものです。

 作品のファンだったというわけでは、正直、ないのですが、「BL作家でもあり、著名な文化人でもある」という人は稀有というか、彼女しかいないようなものだったので、「カリスマの死」に、ショックを禁じえません。

 56歳という若さが、なにより悲しいです……。
【2009/05/28 13:40】 URL | 香ん乃 #zlAQJbYM[ 編集]

 まったくです。56歳という年齢を知って、早すぎるご逝去に愕然としました。
 ものすごいマルチ人間であったことは確かですが、なによりも特筆すべきは、その過剰なまでのサービス精神ですね。同性愛やキャラ萌えも、そのサービス精神の一端ではなかったかと思います。その点、本格推理を外れてスリラー方面に行ったのは必然的だったのではなかったかと。
 栗本氏を悼むのにはやぶさかではありませんが、でも「ぼくらの時代」は、「大誘拐」を差し置いてその年の文春ミステリー1位を取れるだけの作品ではなかった、と思うのも事実(爆)

最近来てませんでしたが、sugataさんの挙げられている本で、読んでいるものが種切れになってしまい(笑)、後コメントを書いていないのはウィングフィールドくらいになってしまったのであります(笑)。
今、「加田怜太郎全集」を図書館から借りてきたので、来週あたりにはコメントできるのではと思っております。
その前に山田風太郎先生の本格ミステリも読まねば……。
【2009/05/28 07:17】 URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg[ 編集]















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