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 読書好きなら一度ははまってしまう”麻疹”のような作家がいるものだが、澁澤龍彦も間違いなくそうした作家の一人であろう。管理人がはまったのは学生時代から新社会人になった頃だろうか。当時、河出書房新社で次々に文庫化されて、さながら澁澤龍彦全集状態だったと記憶する。
 異端、博学、エロティシズム、幻想……彼を読み解くキーワードは山ほどあり、それによって構成される澁澤ワールドは文学からサブカルまで包括するため、いつの時代にあっても文系学生や芸大系学生をいたく刺激してやまない。語弊がある表現だが、もはや永遠のアイドルと言ってもいいのかもしれない。

 そんな澁澤龍彦の小説を久しぶりに読んだ。『澁澤龍彦初期小説集』である。翻訳臭が強く硬質な文体だが、独特のリズムを持ち、決して読みにくさはない。また、中身も澁澤の精神世界をそのまま具象化したようなものばかりで、一見ワケのわからない話にも思えるが、とにかくイメージが強烈なので、理解はしやすいはず。そもそもどの作品であっても、根底には”性愛”が横たわっているので、そのいろいろな形を見せてもらっていると思えば話は早い。

 澁澤龍彦初期小説集

エピクロスの肋骨
 「撲滅の賦」
 「エピクロスの肋骨」
 「錬金術的コント」
犬狼都市(キュノポリス)
 「犬狼都市」
 「陽物神譚」
 「マドンナの真珠」
 「あとがき(文庫版)」
人形塚 他
 「サド公爵の幻想」
 「哲学小説。エロティック革命 二十一世紀の架空日記」
 「人形塚」

 収録作は以上。過去の作品集に併せて章立てのような形で構成されており、「人形塚 他」に含まれる作品だけは、全集を除くと初めて書籍に収録されたものだ。
 個人的には、私小説っぽい「撲滅の賦」がけっこう好みなのだが、澁澤本人は文学でしか為し得ない極度に磨かれた人工的スタイルを評価していたというから、私小説などという感想は嫌がるんだろうなぁ。人工的スタイルが逆に感動を高めるという点では、「エピクロスの肋骨」「マドンナの真珠」の事の成り行きが予想外で実にいい。
 唯一の推理小説という触れ込みの「人形塚」は、意外とベタなホラーという趣で、推理小説の範疇には入れにくいが、昭和初期の探偵小説を彷彿とさせて楽しめた。


テーマ:幻想文学 - ジャンル:本・雑誌




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